Webサービス・Webサイト開発の歴史から紐解く食文化 第8話 ~新型コロナ禍の中での飛躍~

こんにちは。社長室兼システム部の山城です。

今日はシステム部山城として弊社のWEBサービス・WEBサイト開発目線で、食文化のこれまでのあゆみについて振り返ってみたいと思います。

いよいよ、このシリーズ、最終回になります。

2020年、全世界を一変させるアレがやってきます。
そう、COVID‑19、新型コロナウイルスです。
中国の武漢で新型コロナ感染症の最初の患者が報道されるものの、海を越えた国での出来事の1つと呑気に構えていたあの日から数ヵ月、いつの間にか日本でも感染者が発表され、徐々に感染者が増え、マスク生活、イベント中止、緊急事態宣言、飲食店の営業自粛、学校に保育園休園、在宅勤務、外出制限・・・これまでの暮らしが大きく変わりました。

しかし、それが食文化の飛躍に繋がります。

きっかけはNKB溝上氏から萩原社長への「萩原さん、今週金曜日空いてる?農水省に一緒に行ってくれない?」という一本の電話です。
早速農水省に出向き、担当課長に会いました。
内容は、学校の一斉休校により日本全国の給食業者が多くのキャンセル品を抱えてしまっており、食文化のサイトで販売できないか、という相談でした。

食文化では2011年に原発の影響で風評被害にあっていた福島県周辺の野菜の販売支援や、2016年の熊本地震の際のメロンの販促支援など、困っている産地や業者と消費者をつなげる取り組みは得意であり、経験がありました。
また、できるだけ早く開始してほしいという先方の要望もあり、商品企画、仕入れ、Webマーケティング、コンテンツ作成、システム、出荷、カスタマーサポートなど、必要な機能を自社で構築している食文化なら、最短のスケジュールで実現できると考えました。
3月6日に農水省に行き話を聞き、週明け3月9日に社内の主要メンバーを集めて緊急ミーティングをし、事業者にアタックするチーム、商品アップするチーム、コンテンツを作成するチーム、契約の手続きやキャンセル証明等事務系を取りまとめるチーム、納品・出荷を取りまとめるチームなどチームを編成し、急ピッチで準備を進め、3月16日にはうまいもんドットコムで「食べて応援!学校給食キャンペーン」を開始しました。

すると、その日のNHKの「首都圏ニュース」を皮切りに、3月17日にはフジテレビ系列の「めざましテレビ」、TBS系列の「あさチャン」、日本テレビ系列の「news every.」、テレビ朝日系列「スーパーJチャンネル」など、連日各局がTVのニュースで取り上げられ、新聞や雑誌の取材も多く受けました。
お客様から「次の販売はいつですか?」という問い合わせも多く、商品の販売を開始すると案内していないのにすぐになくなり、メディアに取り上げられればアクセスが集中してサーバーが落ち、の繰り返しでした。
アメリカ在住のため時差の関係で就寝中の開発チームの統括Kenji氏を電話で起こしてしまうことも何度か・・・。
最初は給食業者のアタックリストを作り、「こんなキャンペーンを始めます。お困りではないでしょうか?」と食文化から営業をかけていたのですが、取り組みが広まると、「うちの給食在庫も販売してくれませんか?」という問い合わせがたくさん来るようになりました。

そこからはとにかく商品アップ、アップ、アップの日々です。
最初はプロのカメラマンに写真を撮ってもらっていたのですが、すぐ売れてしまうので写真の良さは不要となり、とにかく簡易でアップ、アップ、アップ。
予想以上の注文件数に、出荷場は大混乱し、あっという間に出荷キャパを超えました。
人を増やして対応するもスペースが足りなくなり、急いで新しい物流拠点を栃木県佐野市見つけ出し、大半を新拠点での出荷に切り替えました。

佐野倉庫にはオペレーション部の部長である東浦氏が泊まり込み、出荷現場の指揮を執りました。
結局キャンペーンは5月上旬まで続き、2ヵ月弱で117,280名様に賛同いただき、注文件数 161,913件を達成することができました。販売総重量は、累計282トンに到達し、お茶椀にしておよそ201万4000杯分のフードロス削減をすることができました。

事業者からもメッセージをたくさんもらいました。
これはほんの一部ですが、何度読んでも泣けます。

※ちなみにですが、給食応援キャンペーンは農水省からの委託事業であり、売価に食文化の手数料は乗っていないので、たくさん売れたから食文化の利益が増えた、という構造にはなっていません。
給食業者を支援した裏でさぞ食文化がもうかったのではと勘違いされる方もいるかと思い補足です m(_ _)m

また、新型コロナウィルス拡大防止策や緊急事態宣言などの影響は給食食材だけにとどまらず、飲食店やホテル、イベントなどで需要を見込んでいた大量の食材が販路を失いました。
豊洲市場ドットコムでは、たけのこ、雲丹、しいたけ、マグロ、ホタテ、イクラ、丸ナス、クラウンメロン、など日持ちのしない生鮮食品や、某テーマパークで人気のエビカツ、ホテルビュッフェ用のパンなどBtoB向けの食材を、ご家庭向けにお届けすることによりフードロス削減を徹底的に追及しました。

5月1日には江藤農林水産大臣が記者会見でコロナ禍でのフードロス削減を支援するサイトとして、豊洲市場ドットコムを紹介してくださったり、5月4日のフジテレビ系列「ノンストップ」での「豊洲市場ドットコム人気ランキングTOP3」や5月8日「ワールドビジネスサテライト」などで特集されたりが続き、それまで12万人程度だった豊洲市場ドットコムの会員は1年間で32万人までに増えました。

その後、2021年には、プレジデント社を定年退職した元dancyu編集長の町田成一氏が食文化に入社し、有名飲食店の料理をご自宅で楽しめる「名店の味シリーズ」を開始しました。
また、朝セリにかけられた鮮魚や青果をその日のうちにお届けする「きょう着く便」、「JR東日本」とコラボした「北陸新幹線が運ぶ金沢の海の幸便」、大田市場の売参権を取得し、大田市場から選りすぐりの青果をお届けする「大田市場の夜市」などのサービスをスタートさせました。
そして2022年2月24日には、萩原社長がテレビ東京系列「カンブリア宮殿」にも取り上げられ、食文化という会社を多くの方々に知っていただける機会も得ました。

その結果、2020年、2021年度は、アルバイト社員は増やしたものの、正社員をほとんど増やすことなく、コロナ前の約2.5~3倍の収益を上げることができました。
1日の売上が16,044円だった21年前からすると、比べ物にならない規模の成長です。
サイトの会員は2022年7月時点で自社3サイト合わせて80万人を超えました。
知名度が上がり、産地やメーカーから、販売してほしいというお問い合わせを多くいただくようになりました。
ボーナスも出て給与水準が多少上がり、(それが原因かどうかは不明ですが、)離職率も低下しました。
資金繰りも楽になりました。
これまでコストが原因でできなかったことにも着手できるようになりました。

パチパチパチパチ。よかったよかった、ああこれで将来永劫安泰!一件落着!

なーーーんて、もちろんそんなわけはありません。
おそらくここで浮かれて、ぬるい仕事をしていたら、またコロナ前の状態に戻ってしまいます。
パンデミックは外部要因です。再現性はありません。
よりいい商品、よりいいサービスを提供していかなければ、お客様は離れていってしまいます。
会社価値が下がり、食文化よりもっと付き合いたい会社が出てきたら、取引先はそっちに行ってしまいます。
現状に甘んじることなく、今こそ、勉強して、経験を積んで、新しいことにチャレンジしていかなければいけません。

今回この「Webサービス・Webサイト開発の歴史から紐解く食文化」シリーズを書き起こして過去の苦労と歩みを理解したことにより、明日からの食文化をもっと価値のあるすごい会社にして、食を通して日本を元気にするという食文化のミッションを実現したい、と改めて思いました。

いったん完・・・数年後に続編を出せるその日まで・・・

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