Webサービス・Webサイト開発の歴史から紐解く食文化 第6話 ~新規事業の拡大と停滞~

こんにちは。社長室兼システム部の山城です。

今日はシステム部山城として弊社のWEBサービス・WEBサイト開発目線で、食文化のこれまでのあゆみについて振り返ってみたいと思います。

私山城の入社は2012月12月3日。
いよいよこのあたりからようやく私も知っている話になります。

入社当時の思い出といえば、、、
・築地の事務所がボロすぎて衝撃(トイレは洋式でかろうじてセーフ)
・お局さんみたいな方がいてちょっと怖かった(のちにそうではないとわかりひと安心)
・出荷の作業があると知らなくてヒールのロングブーツで出荷したら足がキツかった
と苦いものが多いですね・・・
あ、事務所は豊洲に移ってからはとてもきれいで快適です。

さて、2011年、東日本大震災が起こり、しばらく個人消費回復の見込みが立たない状況でした。
食文化では、震災直後、あらゆる飲食店・量販店が福島産および周辺地域の農産物をキャンセル・返品する中、どこよりも先に「被災地応援キャンペーン」を実施し、ツイッターで呼びかけ、3,000箱に及ぶ野菜を救うことに成功しました。
また、三陸事業所を作り、社員2名が気仙沼・南三陸方面に常駐することで、被災地の生産復興に尽力しました。

そして、2012年以降は、自社システムと運用ノウハウを生かした他社とのコラボレーションで販売チャンネルを増やし、新規案件ラッシュの数年になりました。

中目黒の野菜スイーツ店『パティスリー ポタジエ』と連動したECサイト『ポタジエマルシェ』を開始したり、日経BP社と『日経レストラン』冠のECサイト『目利き問屋』をオープンしたり、ソニーマーケティング株式会社と協業してBRAVIAユーザー向けにTV上で旬の食材を紹介したりしました。

KDDI株式会社とは、auユーザー向けの定期購入『auおまかせショッピング』でフルーツ、グルメ、ワインの3コースの定期購入を担当しました。
フルーツグルメコースは築地市場ドットコムブランド、グルメコースはdancyuブランド、ワインコースは伊藤忠食品株式会社に相談し、飲食店卸向けのワインを紹介してもらいました。
酒類の販売を強化するために媒介免許を取得したのもこの頃です。

2013年には、株式会社ローソンのネット通販事業「スマートキッチン」の運営支援を開始しました。
この案件は、当時株式会社USENの副社長だった加茂正治氏がローソンに移りEC参入を考えていたところ、築地(現豊洲)市場の仲卸である小田政から食文化を紹介されたことにより始まっているのですが、実は萩原社長はこの案件を断ろうと思っていたそうです。
というのも、マス向けであり便利を追求するローソンの企業文化が食文化とは合致しないと思ったためです。
しかし、加茂氏らと話をする中で、「マチの健康ステーション」宣言など企業としての健康への取り組みを強化し始めてきたローソンとの親和性を見出し、業務提携に合意しました。

これ以外にも1年間で複数の新規事業が立ち上がったのですが、数年内にはこのうち約半分が終了になります。
ある案件では収益が上がらず上層部の判断で終了へ、別の案件ではクレームが本社のカスタマーサポートセンターに行ってしまい青果物の品質クレームに対する考え方が折り合わずに終了へ、また別の案件では担当者が人事異動になりそのまま規模が縮小し終了へなど、理由は様々ですが、「大企業だとコンプラの問題でやれることの制限が多く、無難なものになってしまう限界がある」「担当者がサラリーマン的な考えだと厳しく、熱意をもって自分で宣言して突き抜けるマインドがこの世界には必要」と萩原社長は当時の様子を振り返ります。

一方で、ECサイトの新規開発案件にも陰りが出始めます。
それまで、新しいECサイトを作るのは、割と簡単でした。
うまいもんドットコム⇒豊洲市場ドットコム⇒dancyuドットコム⇒RAREPLANT.com⇒ポタジエマルシェ⇒目利き問屋 とフットワーク軽くサイトを増やしてこれていたのは、かなり雑な言い方をすると、プログラムとデータベースのコピーに画面デザインを乗せ換えることで実現できたからです。
新規で何かを始める際に、短期間かつ安価というのは、重要な要素です。

しかし、スマホの普及により大きな変化が起こります。
スマホ利用率がPC利用率を抜き、これにより、レスポンシブルデザインが主流になり、PCだけではなくスマホやタブレットを意識したデザインが必要になり、いわゆる【画面デザインを乗せ換える】作業が簡単にできなくなりました。

デザイナーの必要スキルも上がり、そうすると単価も上がり、対応工数が上がり、そうすると総コストもあがり、食文化のサイトは機能も充実、しかも安価、というのがなかなか通じなくなり、この頃から、他社と協業して販売チャネルを増やしていくという方向性から若干舵を切らざるを得なくなりました。
実際デザインのコストとしては4倍近くになった印象です。

また、モール事業も収益が悪化していきました。
理由は、メルマガや広告の料金体系の変更による出店手数料の高騰、早割先売りが主流になったが故の「いつ発送されますか?」というカスタマーサポートへの問い合わせ増と天候不順や不作等による未出荷など色々なマイナス要因がありました。
加えて、大雨・小雨や猛暑・暖冬といった異常気象による、食文化の売上の多くの割合を占める青果物の入荷減少、カニ密漁協定の影響によるカニ相場の大幅上昇など、仕入環境が厳しい状況下にありました。

創業以来毎年売上高を伸ばしてきた食文化ですが、消費増税後の先取り需要の反動もあり、自社のECサイトも売上を減らし、2014年度、初めての減収となりました。

第7話に続く・・・

Webサービス・Webサイト開発の歴史から紐解く食文化 第5話 ~新しいビジネスは人と人との出会いから~ Webサービス・Webサイト開発の歴史から紐解く食文化 第4話 ~dancyuドットコムオープン、10年間温めていた事業が形に~ Webサービス・Webサイト開発の歴史から紐解く食文化 第3話 ~市場直結ECへの挑戦~ Webサービス・Webサイト開発の歴史から紐解く食文化 第2話 ~やっていける、と確信した瞬間~ Webサービス・Webサイト開発の歴史から紐解く食文化 第1話 ~食文化創業とうまいもんドットコムオープンまでの道のり~