甘み・酸味・ほのかな苦みのバランス最高!和歌山県産『八朔』を食べてみました

味わい豊かな八朔は、日本人好みのフルーツ!

冬の寒さも少し和らぎ、春の訪れを段々感じるこの時期。柑橘系フルーツの旬はまだまだ続きますね。
『いよかん』に並ぶ日本の柑橘の古株、『八朔』(はっさく)を食べたことはありますか?
昔食べたことはあるけれど、最近はほとんど食べる機会がないという方もいるのではないでしょうか?

大ぶりの果実に分厚い表皮が特徴の八朔は、あっさりとした甘さと酸味の中にほのかな苦みを感じる、味わい豊かな柑橘です。単に甘い、苦いだけでなく、多様な味のハーモニーを楽しめる、日本人好みの味ともいわれています。
また、固めの果肉のサクサクした食感は、他の柑橘にはない食べ応えの良さに定評があります。

最近は甘いフルーツが好まれる傾向にありますが、上品な甘さと後味のスッキリ感が持ち味の八朔は今でも根強いファンに支持されています。

いま流行りの、甘さ強めのフルーツにちょっと飽きたかも?
いつもと違った味のフルーツを試してみたい。
特徴的な風味の八朔を食べてみたら、きっとやみつきになることでしょう。

今回は、これからも愛し続けたい日本の伝統的フルーツ、和歌山県産『八朔』を徹底紹介します!

 

八朔のルーツは?昔は夏の果物だった?


八朔は日本を原産地とする、とても古い歴史を持つ柑橘系の一種です。

八朔の栽培は江戸時代末期に、広島県の尾道市(旧因島市)因島田熊町の浄土寺で原木が発見されたことから始まったといわれています。
因島は気候が温暖であるなど柑橘が育ちやすい環境が整っていることもあり、外部からの苗木や果実の持ち込み、実生によって柑橘の数が増え、自然交配も繰り返されていました。
八朔は偶発的に発生した品種なので、親品種は未だ明らかにされていません。

八朔の名前は1880年頃、浄土寺の当時の住職が「八月朔日(さくじつ)に食べられる」と言ったことが由来との説があります。
「八月朔日」、略して「八朔」とは、陰暦の8月1日(新暦8月30日)を意味します。
昔は毎年この時期から八朔を食べていたのでしょうが、実際この時期はまだ果実が小さく、とても食べられるものではありません。

現在は12月~1月に収穫後、1,2ヶ月ほど貯蔵させることで酸味を落ち着かせ、甘みの度合いを上げていきます。それから、最も食べ頃の2月~3月にかけて出荷をします。

八朔の主な産地は西日本で、和歌山が生産量のトップシェアを誇っています。次点に発祥地の広島、みかんで有名な愛媛が続きます。
和歌山の八朔ブランドは、木に実らせたまま熟させた『木成り八朔』が有名です。

 

八朔の皮を剥いてみました!


八朔の表皮は固く厚みがあるので、手で簡単に剥くことは難しいです。
ナイフで十字を描くように、表面に深く切り目を入れることで、やっと剥くことができました。
八朔をスムーズに皮剥きするには、柑橘専用のカッター(ピーラー)を使うことをおすすめします。
白い筋状の維管束(いかんそく)もびっしりこびり付いていて、取り除くのが大変でした。

 

八朔の内部に迫る!


八朔の果肉は一つ一つが大きく、袋(じょうのう)も厚くて固いものです。手やカッターで剥く手間がかかりますが、風味豊かな果肉を楽しむために頑張りましょう。
袋の中心側から開くように剥けば、果肉を綺麗に取り出すことができますよ。


表皮に負けない位の、鮮やかで艶のある黄色が目を引きます。食欲が増してくる色合いですね。
果肉は果汁が少なめで、弾力性のある質感です。形崩れすることなく綺麗に取り出し、カメラに収めることができました。
種が大きく、多いので口に入れる前に必ず取り除いてくださいね。小さい種にも注意してください。
果肉が固めなので潰すことなく、さらに手をさほど汚すことなく種を取ってしまうことができました。

 

八朔を食べてみました。


今回試食した八朔は、固めの果実の中に適度に果汁を含んだ、とても良い食感でした。
ほろ苦さと上品な甘さの調和は、甘い柑橘に慣れている筆者にとっては新鮮な感じでした。苦みよりも上品な甘みが感じられ、食べるのが楽しくなる味わいです。酸味もほど良い感じに合わさり、味のバランスが良くとれていました。

筆者は長年の間、八朔を食べていませんでしたが、久々に食べた八朔は意外とまろやかな味になっていることに驚きました。
八朔は苦みが強い!というイメージが覆されるような感覚でした。
八朔を久々に食べようと思っている方は、新しい味わいの発見があるかもしれませんね。

 

八朔は今が食べ頃!独特の風味を楽しんでみませんか?

いかがでしたでしょうか?
古くから伝わる日本独自のフルーツ、八朔に興味を持った、もしくは久々に食べてみたいと思うのであれば嬉しい限りです。
糖度が高いフルーツが流行している近年、八朔の生産量が減少傾向にあるといわれています。
最近の八朔は、木成り製法で甘みを引き出し、濃厚な旨みも感じられるものへと進化しています。
食べ頃真っ盛りの今、八朔を食べて応援していきましょう!