食文化スタッフの田賀です!毎朝豊洲市場を巡っています。連載コラム「タガの豊洲市場日記」も、是非ご覧ください!
本日、8月30日は豊洲桟橋でニタリクジラの生肉が荷揚げする日。
東北沖で操業していた捕鯨船の「第三勇新丸」が豊洲桟橋に着岸したのは昨年に続き、2回目となります。
(2021年から、豊洲市場でのニタリクジラの生肉上場は行われていたものの、初年度は東京オリンピックが開催されたことにより、豊洲桟橋への着岸は叶わず。)
荷揚げされた未凍結の生肉は加工場へ運ばれ、9月1日に豊洲市場で競りにかけられる予定です。
先駆けて、取材に行ってきました!
豊洲までの道のり
前置きとして、豊洲に上場するまでの道のりをお話しします。
今回は8月23~26日にかけて、青森県沖で捕獲したオス、メス計7頭のニタリクジラを、母船「日新丸」の船上で解体し、捕獲船(キャッチャーボート)の「第三勇新丸」に積み替えています。
豊洲豊洲桟橋に着岸したのは捕獲船の「勇新丸」のみです。
通常は母船で解体した後、冷凍された状態で荷揚げしますが、今回は氷蔵、熟成して一度も凍結していません。
最高なニタリクジラがお目見え
到着して間もなく、共同船舶 所社長によるメディア向けのお披露目が始まります。
手に持っているのは最高級部位とされる「尾の身」。素晴らしいサシです。
最高級部位「尾の身」を実食!
今回、特別に「勇新丸」の船内を見学させていただきました。
食堂に通されると、そこで待っていたのは「尾の身」の刺身と寿司。今回獲れた7頭のニタリクジラのうち、胴周長さが1番の丸みのある個体で、鯨体サイズ、赤肉の質感や全体的な脂乗りともに文句なしに良いとされる7頭目(26日水揚げ)を試食させていただきました。
感動ものです。臭みは皆無、口に入れて瞬時に脂が溶けます。牛肉のように旨みが濃いですが、舌の上で脂がサラリと溶けるのは脂肪酸組成の違いを感じます。全くしつこくなく、いくらでも食べれてしまいそう。
まだ鮮度が非常に良い状態です。社長曰く、明後日9月1日くらいはさらに旨みが増すだろうと。
今年のキーワードは「(鯨は)100年とってもだいじょうぶ!」
所社長は、クジラを食べることが海洋資源の保護につながるといいます。
・日本では国際捕鯨委員会が定める捕獲枠を守れば、クジラの個体数は減少しないということ
・捕獲されたクジラはDNAが登録され、食品トレーサビリティが確保されており、安全な食品として提供されていること
・クジラは毎日自分の体重の4%の餌を摂取し、その餌には私たちの食卓にもよくあがるサンマやイワシ、スルメイカといった水産物が含まれているため、クジラの保護は食糧問題や海洋生態系のバランスに影響を与える可能性があるということ
このようなお話をされていました。クジラを食べることは、海洋の持続的な開発目標(SDGs)にも貢献するのですね。
捕鯨船「勇新丸」への潜入レポートは後編で!
今回、念願叶って「勇新丸」の船内に入ることができました。その様子は後編でお伝えします。