【鰻師編】惜しみない愛情で無薬養鰻に挑み続ける山田水産の「山田のうなぎ」を取材してきました

食文化スタッフの田賀です!今回私は山田水産さまの、鰻の無投薬養殖に挑み続ける「有明事業所」新たな鰻の発信拠点「志布志工場」素材選びから製法まで妥協せずししゃもを作りあげる「垂水事業所」に訪問しました。
本コラムは「山田のうなぎ」をつくり上げる有明事業所に注目し【鰻師編・焼師編】の構成にしています。

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目次

    鹿児島県でおいしい鰻を追求する情熱から生まれた「山田のうなぎ」とは

    完全無投薬鰻「山田のうなぎ」

    霧島山系の清らかな湧水を使い、水質や鰻の健康管理を徹底して行うことで抗生物質・合成抗菌剤を一切使わないことを実現した「完全無投薬」の鰻を、炭火でふっくら香ばしく焼き上げられるのが「山田のうなぎ」

    本来鰻の養殖は、健康維持や病気にならないように投薬して育てるのが一般的です。それ以外ではまず育てられないとも考えられてきました。
    山田水産の不可能への挑戦は、「鰻を育てるのに薬は必要なのか?」という疑問から始まり、2005年 日本ではじめて稚魚から成鰻まで完全無投薬の養殖に成功したのです。

    おいしい鰻を追求する情熱から生まれた無投薬鰻は、焼き・味付け・お客様に届くまで徹底的にこだわります。

    「山田のうなぎ」は鰻師の情熱と雄大な自然の恵み、そして焼師の技術がすべて揃うことで出来あがる蒲焼きなのです。

    決して他の鰻が悪いわけでは無く、この鰻が特別なだけです。いま、投薬を禁止したとして、鰻を育てられなくなり出回る数がグッと少なくなる可能性も大いにあります。

    さらに簡潔にポイントをまとめます。

    「山田のうなぎ」のポイント

    ★抗生物質・合成抗菌剤を一切使わないことを実現した「完全無投薬」の鰻

    霧島山系の清らかな湧水を使い、水質や鰻の健康管理を徹底して行う

    ★四六時中寄り添い、愛情を込めて育てる「鰻師」の存在
    鰻師は五感を使って徹底的に鰻と向き合うことで体調のサインを見逃さず、無投薬でも病気にさせない=鰻は健康的に(おいしく)成長する!

    ★手間暇かけておいしさを最大限引き出す「焼師」の存在
    情熱を込めて育てあげた鰻を炭⽕を取り入れた焼き、タレの味付けまでこだわり尽くす=着色量・保存料は一切使用しない本格蒲焼きが完成する!

    “おいしい鰻”を追求し、挑戦し続ける

    壁にぶつかりながらも挑戦し続ける山田水産の強い信念、24時間365日見張る鰻師がいるからこそこの特別な鰻が実現し、私たちも楽しむことが出来るのです。

    惜しみない愛情を注がれ、徹底的にこだわり完成した「山田のうなぎ」は “しみじみおいしい” それに留まらず、“元気が出る” 鰻の蒲焼きです。天然にも負けず劣らず、鰻本来の味の深さがあります。
    シラスウナギに始まり蒲焼き、冷凍から梱包に至るまでどこを切り取っても、おいしさに繋がる取り組みと挑戦を続けているからだと今回の取材で実感しました。

    鹿児島の雄大の自然の中で無投薬養殖し、鰻の老舗・専門店さながらの焼き上がり、味わいをお家で手軽に再現できる。この体験を当店のお客様にも繋げたい!

    山田水産の情熱と、食欲を掻き立てる鰻の香ばしい香り……。少しでもお届けできると幸いです。
    っと、前置きが長くなりましたが、本コラムでは「鰻師」に注目を置きながら、完全無投薬について、水について紹介していきたいと思います。

    養鰻場に住居を構え、24時間体制で鰻と寝食を共にする「鰻師」

    鹿児島県志布志にある養鰻場に到着すると、そこに現れたのはずらりと並ぶ養鰻池、と、お家。
    山田水産で養鰻に携わるスタッフ「鰻師」は常に鰻に寄り添い観察し、些細な体調の変化や池からの声を見逃すことなく育てています。
    池ごとの鰻の食欲、泳ぎ方、池の水の色、匂い。経験がものを言う世界です。到底私にはわかりません。
    ただ、「鰻師」も最初からうまくやってきた、わけでは無く、これまでに小さなことから大きなことまで沢山の失敗も経験してきたと、大事に大事に育ててきた鰻も沢山失ってきたと。その度に悔しい思いもしたし、だけどもそこでの学びが今に繋がるとお話ししてくださいました。

    さて、おいしい鰻が育つ環境を紐解いていきましょう。

    鰻師の情熱により実現した「完全無投薬」

    鰻がストレス無く、快適な環境をが整っていれば、元気に餌を食べる。よく食べるということは大きく育ち、身も厚くなる。 薬に頼らずとも病気にならずに元気な状態を維持できれば、素直においしい鰻に育つ。

    極シンプルな考えですが、そう簡単ではありません。
    実現させるのはもちろんのこと、無投薬養鰻に成功した2005年から今まで、安定して続けていることがまた凄いのです。

    土地の恩恵「天然地下水」もおいしさの理由

    鹿児島県志布志には、九州霧島山系の広大なシラス台地で自然ろ過された清らかな水が存在します。わたしたちが飲んでもおいしい名水です。
    “あるものはありがたく使う!”この天然水を地下70mより汲み上げ、養鰻に使用します。

    ただ使うだけではありません。1日2回検査を行い水質、温度、酸素量などをデータで徹底的に、水位や水量も24時間管理しています。養鰻池に異常が生じた際にはコンピューターが自動で鰻師に通知する機能も。夜中にアラートが鳴ろうと、場内に家があるのですぐに駆け付けることができます(焦りますが)
    また、データだけでなく、実際の匂いや濁り具合など体感値でも確認。人とコンピューターによる徹底管理がなされているのです。

    愛情たっぷり、いかにも健康になれそうな「餌」

    鰻たちは1日に2回、餌の時間がありあます。つくり置きをせず、毎度担当が時間に合わせて作りたてを準備します。
    主な材料は⿂粉や魚油。そこに栄養剤としてビタミンミネラル、さらには鹿児島名産 黒酢を加えるというのです。これには驚きました。
    というのも、ある日メディアで黒酢の効果効能を知った当時の社長のひらめきだそうで、鰻にもいいだろうと翌日から餌に取り入れたそう。肝臓強化にも繋がったのだとか。

    また、餌の量は“腹八分目”。過食と残留は、鰻にとって、池にとってNGです。

    まさか地元の名産 鹿児島県産の黒酢を毎日摂取しているとは思いませんでした。健康的な内容の餌を健康的な量食べ育った鰻。それをまた食べるわたし達も元気になれそうですよね!

    鰻の未来に向けて

    ニホンウナギは現在絶滅危惧種に指定されています。シラスウナギの漁獲量は減少しており、このままではいつか鰻が食べられなくなるのでは…との懸念が高まっています。
    政府は2050年までに、天然の稚魚から全て人工的に受精させて生産した稚魚に切り替える目標を掲げており、水産庁は水産研究・教育機構と共同で大量生産システムの実証実験を行っています。
    “2050年までに人工種苗比100%を実現することに加え、養殖飼料の全量を配合飼料給餌に転換し、天然資源に負荷をかけない持続可能な養殖体制を目指す。”と目標を掲げ、取り組みを進めています。

    山田水産もメンバーの一員として挑戦しています。
    今回、完全養殖の取り組みも見学させていただきました。孵化現場は撮影禁止ということもありここでの言及は控えますが、現状、課題、次のステップなどを肌で体感しながら学ぶことのできる貴重な経験でした。

    シラスウナギ(レプトセファルスから変体直後)
    クロコ(シラスウナギから変体直後)

    ほぼ成魚(色は薄い灰色)
    親鰻(目が合った~)

    ひたすらに鰻の完全養殖に取り組まれる皆さまを見ていて、“未来のノーベル賞候補者たちだ”と思いました。
    完全養殖鰻を食べる日がとても楽しみです。

    完全養殖ご担当と鰻師

    さて、鰻が育ったら次は“焼き”の工程。おいしい蒲焼きがわたし達に届くまでのこだわりに注目していきましょう。
    後編に続きます。

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