職人による手づくりの味が残る、横浜の老舗練り物屋「いしばし」の取材に行ってきました。

食文化スタッフの田賀です!毎日、連載コラム「タガの豊洲市場日記」を投稿していますが、本日はこちらを1日休んで、朝から取材に行ってきました。行き先は横浜の地に100年、職人の手作りにこだわり続ける老舗練り物屋「いしばし」です。

目次

    横浜市中央卸売市場発 横浜の地に100年

    「いしばし」は、大正3年に横浜にて「石橋蒲鉾店」として創業し、100年以上経つ今でも横浜中央卸売市場本場から様々な場所へ練り物を届けています。工場は横浜駅から車で10分ほどのところにありました。

    手作業が多いのは、人がつくる味にこだわっているから

    工場内に入らせていただきました。下調べの時点で手作りにこだわっていることを踏まえていながらも、本当に機械を使ったレーンがないから驚きます。写真は季節の野菜を合わせて作るちぎり揚げ(青唐辛子)です。工場内には5~6人。一人ひとりが常に手を動かしています。

    揚げたてを一ついただきました。素材の持ち味を活かし、ちょうど良い力加減で 形成していくからこそのふわふわなのに程よい弾力。揚げたてのおいしさは想像をはるかに上回ります。しかし、熱々な上に、青唐辛子だからひたすら辛い。これは~大人のつまみです。ちなみに高温の揚げ油、茹でる用のお湯が密集する工場内はサウナのよう。相まって汗が止まらなかったです。ただ何だか、清々しかったな。

    ちぎり揚げも団子(いわし団子やえび団子)も、機械(型)を使うと味わいが変わるといいます。空気が関係するようです。「分かりやすく言えば、お母さんが作るおにぎりと、コンビニで買うおにぎり。どちらもおいしいけど、違うよね」と、なるほど。分かり易い例えです。

    伝統の石臼擂潰、そして生まれる「さしみはんぺん」。ひょっとして、SDGsに繋がるのでは?

    すり身は伝統の石臼擂潰で作っています。今回の取材では主に「いしばし」の人気商品「さしみはんぺん」の製造を見学させていただきました。

    朝届いたサメの生原料と大和芋を使い、摺り上げ、昔ながらの製法で1枚ずつ手取します。どの工程を切り抜いても、まさに職人技。

    別室で、製品をいただきました。しゅわりとろける口どけは格別です。大和芋の香りも上品に味わえます。板わさのように食べるもよし、バターなどで焼いてもよし、おでんに入れても。間違いなく、隠れた万能選手です。

    この商品に限らずですが、製造過程やその裏側を伺っていると、日本人らしい歴史が垣間見えました。ひょっとしたら今で言うSDGsに繋がるのでは?そんなポイントが多々あります。(実際に「いしばし」は横浜市SDGs認証制度”Y-SDGs”を取得していました。)

    例えば、この「さしみはんぺん」使うサメ。原料時点では皮やすじが付いていますが、それを取り除いてミンチ状にしたものを使います。そこで余ったすじは?というと、おでん種として、「すじボール」に生まれ変わります。本来なら捨ててしまうようなところも余すことなく、おいしく変身させます。その昔は魚河岸で行き場を無くした生魚を無駄にしてはならない!と、すり身を作って、練り物として製品化してきたよう。これに関しては「いしばし」だけでなく、魚河岸と練り物屋の密接な関係性が伺えます。


    横浜いしばしの商品は販売に向けて準備中!

    記憶が鮮明のうちにと、簡単なコラムとはなりますが、詳しくは近々コンテンツを作ります。同時に規格から準備中。

    練り物好きをはじめ、皆さんに、早くお届けしたいです。

    横浜いしばしの皆さま、ありがとうございました。