第二章「てっぺんへのこだわり」
雨宮聖さん:桃は「高位優勢」と言われています。高いところの方が太陽に近く、日の光を良く浴びて、甘くておいしく育ちます。他の枝や葉に邪魔されないですから、できるだけ樹を高く育てて、その枝から数個を選んで大切に育てていきます。 普通は樹をあまり高くしません。収穫が大変だからです。普通の脚立では届かないくらいの高さになることもあります。作業性がものすごく悪いから、他の生産者の方はやりたがりません。でも、ウチはおいしくなるのが分かっているので、あえて樹を高く育てて、「てっぺん付近」の桃を育てています。
▲想像以上に高い!
これからもっと高くなり、太陽をたくさん浴びて育った樹の頂上付近だけに限定した桃が「てっぺんの桃」となります。 ――なるほど!これが雨宮さんの「てっぺんの桃」の由来なのですね。 樹の適齢期? 雨宮聖さん:樹の剪定も大事です。若い樹は桃の実に栄養を使うより、樹自体の成長に栄養を使ってしまいます。老樹もダメです。この樹の剪定もとても大事なのです。 大体、桃の樹の寿命は20年くらいです。老樹は役目を終えて伐採します。
▲年輪が20輪くらいありました。
おいしい桃を育ててくれてありがとう。 「摘果(てきか)」とは? 雨宮融さん:摘果(てきか)作業も大事な工程です。一本の枝に何個の桃を育てるかを決めて、小さい実の時に、要らない実を間引きする作業です。上を向いている実、密集している実、日が当たりにくい実などを摘果していきます。どれを間引くかのノウハウも雨宮家流です。
▲どれを残そうか?摘果作業はとても重要。
――スゴい。まさに一子相伝の技というわけですね!
第三章:雨宮家のこだわり に続く
取材:小河原英二、西川純平
執筆:小河原英二
撮影・編集:西川純平