濃い紅色が完熟の証!長野県産『秋映』を食べてみました。

実りの秋を彩る、りんごの収穫シーズンです!

ひんやりとした秋風を肌で感じるこの時期、店頭では数多くのりんごが並び始めています。鮮やかな赤色・黄色の実と、漂う甘い香りに食欲をそそられますね。数あるりんごの中で、長野県で最も有名な3品種を合わせた『りんご3兄弟』をご存知でしょうか?

『りんご3兄弟』は、長野県生まれのオリジナル品種、秋映(あきばえ)、シナノスイート、シナノゴールドの3種の総称です。これらの品種をもっと知ってもらうために、JA全農長野は2009年に『りんご3兄弟』の商標登録を取得し、プロモーションに注力しました。

今回は、りんご3兄弟の長男である『秋映』についてご紹介します。濃い赤色の外観が目を引く秋映の収穫時期は9月下旬~10月中旬で、りんご3兄弟の中で最も早く食べられる品種です。今がちょうど食べ頃なので、秋映独自の歯応えの良い果肉の食感と、甘さと酸味のバランスが取れた果汁を味わってみたいですね。
では、りんご3兄弟のトップバッター、秋映の魅力に迫っていきましょう!

 

秋映の主な特徴とルーツは?


「秋に映(は)えるりんご」であることから名づけられた『秋映』は、長野県のオリジナル品種で、長野県中野市を中心に栽培されています。シェアの約90%以上を長野県が占めており、その他の産地としては山形県や群馬県、富山県などがあります。熟期と収穫時期は9月下旬~10月中旬、食べ頃は10月初旬~11月初旬頃までといわれています。

秋映は1981年、長野県中野市で農業を営んでいた小田切健男氏が「千秋」に「つがる」を始めて交配して育成させた品種です。当初は病気には強いものの霜に弱いという弱点に悩まされることもありましたが、研究を重ねて改良に成功させ、1993年に品種登録されました。

他のりんごに比べて、ひと際濃い赤色の実が特徴的です。さらに完熟させると、暗紅色に(ドス黒く)に変色します。長野県北部の中野市のような寒い地域や、標高の高い土地で栽培されることで、表面に充分な冷気が当たることで濃く色づくのです。

秋映は独特のカラーとしっかりした肉質のとても個性的なりんごですが、濃厚な香りと味わいにファンとリピーターを確実に増やし続けています。生産量が少なく、旬が短いのでお店で見かけたら、すぐに手に入れて味わってみてくださいね。

 

秋映を実際に手に取ってみました!


果実は大きめで、ずっしりとした重さを感じます。300~350gもの重さの中に、緻密な果肉とジューシーな果汁が詰まっていることが伝わってきます。今回入手しました秋映は、表皮が濃い赤色と、黄色がかった薄い赤色とまだらの模様になっている箇所がありました。

全体的にツヤがあり、眩しい程の輝きです。果肉は甘い香りが強く、皮むきする前から力強い香りを楽しむことができました。

 

秋映の内部に迫る!


皮質は固めで、張りのある感触です。弾力性もあるので、果物ナイフの刃を入れる際に少し力が要るかもしれません。今回は秋映の横側に沿って皮むきをしましたが、皮質が固い分剥いた皮がばらけることなく、綺麗にまとまってくれました。

果肉は黄味がかったクリーム色です。繊維が見当たらず、どの角度から見ても緻密さを感じ取れます。果肉にも固さと弾力性があるので切り分けしやすく、果肉が崩れる心配がありません。


繊維に邪魔されることなく、まっすぐに切り分けることができました。『蜜』の部分がない均等な色加減です。種の面積が少なく、食べられる箇所が多いのが嬉しいですね。種の数も少なめでした。

 


固さと弾力性のある果肉は食感が良く、とても食べ応えがありました。今まで食べたりんごの種類の中で、一番固い品種かもしれません。柔らかいりんごに慣れている方が初めて口にすると、このバリっとした固さに違和感を覚えるかもしれません。

 

秋映を食べてみました

ですが、噛みしめるたびに果汁が溢れだす、ジューシーな食感にはきっとやみつきになることでしょう。果肉が固いから、果汁が少ないのでは?と誤解されがちですが、秋映は果肉が緻密な分、果汁が最も多く含まれているのです。濃厚な甘さの中に適度な酸味があり、後味もさっぱり。まさに『りんご』らしい味わいともいえます。

 

秋映の美味しい食べ方をご紹介!

秋映独自の食感と果汁を楽しむには、皮をむいての生食が一般的ですね。実はりんごの皮の部分は、ポリフェノールや食物繊維が含まれた栄養の宝庫なのです。表皮をしっかり洗って、皮ごと食べることをおすすめします。秋映のしっかりした歯応えをもっと楽しむことができますよ。

加熱しても食べ応えがある秋映は、ジャムやコンポートに加工しても違った味わいが楽しめます。ジャムは保存期間が長いので、トーストに塗る、ヨーグルトにかけるなど、様々な使い方ができます。コンポートを使ったおすすめレシピは、何といってもアップルパイ!
サクサクのパイ生地との相性ぴったりな、万人から愛されるスイーツの定番です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?秋の訪れとともに出荷が始まる秋映は、信州のりんごを語るうえでもっとも大きな存在です。実はこの秋映を食べてみなくては、信州のりんごを知ったとはいえないともいわれている程、ブランド力の高いりんごの品種なのです。秋映は信州に留まることなく、全国で出荷数を伸ばし続けています。他のりんごには類を見ない、食感と果汁の風味の力強さをぜひ味わってみてくださいね。