あんずの生産量、日本一!長野県産の生あんず3品種を食べ比べしてみました

生あんず、食べた事ありますか?


こんにちは、築地市場ドットコムのTwitterの中の人です。
今が旬のフルーツと言えば桃、メロン、プラムなどがスーパーを中心に多く出回っていますが、中の人が最もオススメしたいフルーツがあります。それはあんずです。
あんずと聞くと、ドライフルーツやシロップ漬けなどの加工品を思い浮かべがちですが、生のあんずというものがあります。もちろん、生のまま食べられるのです。でも、生のあんずをそのまま食べた経験がある方はそんなにいらっしゃらないのではないでしょうか?


その理由は、あんずの生産地が限られている事、そして収穫された生のあんずは日持ちがしない為に全国的にあまり流通していない事が挙げられます。あんずの生産量日本一を誇る長野県千曲市では例年6月下旬頃よりあんずが最盛期を迎えますが、収穫期はたった1カ月程しかありません。もちろん品種にもよりますが、収穫できる時期が来ると農家さんはワーッと収穫してワーッと箱詰めしてワーッと出荷して、と、とにかく大忙しなんだそう。
築地市場にも生のあんずは入って来ますが、量もそんなにありませんし品種も限られています。しかし、今回は産地の方や仲卸さんのご協力を得て、なんと贅沢にも3品種の生あんずの食べ比べを実現させる事が出来ましたー!本当にありがとうございます。一度に3品種を食べるなんて、中の人も初めての経験です。築地で働いていてよかった…。


あんずは英語ではアプリコット、日本だけではなく世界中に存在しています。日本で栽培されているだけでも実は品種はかなり沢山あるのですが、農林水産省に登録されている品種はかなり少ないのです。実際にスーパーなどの店頭に出回る品種も限られているんじゃないでしょうか。中の人も毎年この季節になると市場の中やスーパーをウロウロ探し回っているのですが、数える程しか確認出来ていません。


今回、食べ比べを行ったのは左からハーコット、信月、信州大美という3品種です。ハーコットは都内でも割と比較的見かけます。右の2品種は中の人も今回初めて食べました。
それでは食べ比べレポート、いってみます。

 

【食べ比べ:01】ハーコット


まずはハーコットから。
ハーコットはカナダで誕生した品種で1979年頃に日本に導入されました。親の交配品種はモールデン604とNJAIの選抜実生。


写真のように色鮮やかなオレンジ色をしているという特徴を持っています。糖度が高いため、主に生食用として栽培・出荷されている品種です。


そんなハーコットの断面図はこちら!桃よりも綺麗にカットする事が出来ました。素晴らしい断面図ですね。
入手した時点ですでに熟しており、手にした感触はなんというか少し硬めの梅干しのような漢字がしました。ほんのりと、梅に近い香りもします。あんずは皮ごとガブリと食べられますので、水で軽く洗ったあとにそのままかぶりついたのですが、なんとも言えないネットリ具合に中の人も思わずうっとり…。美味しい。ちょっと、他のフルーツにはない不思議な食感なのです。
甘さもちゃんとあるのですが、後味にほんのりと酸味が残るところがまた憎い。
ハーコットはあまり日持ちがしませんので、購入したあとは早めに召し上がって下さいね。

 

【食べ比べ:02】信月


2品種目、信月
長野県果樹試験場において、新潟大実とチルトンの交配により誕生した品種です。1992年、品種登録。ハーコットに比べると、ちょっと大きめサイズ。そして、黄色。


調べてみるとこの品種は生食用ではなく加工品に利用される事が多い品種のようです。


だからなのかな?手にした感触はかなり硬めで、梅酒に漬け込む前の生の梅にほぼ近い感じがしました。
香りはとっても華やかで、まるでお花のような甘い香りがしたのに食べてみると酸っぱーい!これ、かなり酸味が強いですね。後味も完全に酸味が残ります。食感はサクサク系で、熟する前のプラムに近いかな。食べられなくはないけれど、個人的にはもうちょっと柔らかくて甘さがあるといいなあ、と思いました。でも滅多に生で食べられる機会なんて無いのだから、これはこれでありがたい。

 

【食べ比べ:03】信州大美


3品種目、最後は信州大美(しんしゅうおおみ)です。
あんずの品種には他にも新潟大実、秋田大実など地名+大美という品種名が数多く存在します。信州大美は新潟原産の新潟大美とアーリーオレンジ(ヨーロッパのあんず)の交配で誕生しました(※最近の研究結果でこの交配は誤りではないかという説もあり)。1980年に品種登録。


今回入手した3品種の中では一番色合いが可愛いかった信州大美。微妙な黄色からオレンジ色、朱色へのグラデーションがとても美しいです。大玉傾向で、糖度が高く生食に向いている品種です。食べごたえもバッチリ!また、果実が大きく晩生種である事から加工品用にも使われています。


信州大美の断面図はこちら。ハーコット程ではありませんでしたが、こちらも熟しておりネットリ系の食感を楽しめました。何かに似てるなあ、と思ったんですがパパイヤに似てます。香りは甘すぎないプラムのような香り。果肉のキメがとても細やかで、大玉サイズなのに食感がとても繊細というこのギャップにやられました。

 

生あんずを食べたいなら急いでください!

3品種の食べ比べのまとめです。あくまでも中の人の個人的な感想ですが、パクパクと食べやすかったのはやっぱりハーコット。信月は酸味があるので通好み、信州大美は食べごたえがあるのでインパクト大。というところでしょうか。
先日、長野県によるイベントに偶然遭遇したのですが、やはり今の季節はあんずがイチオシのようで生あんずの他、あんずの加工品も紹介されていました。頂いたパンフレットを見ると、千曲市にはあんずを使った加工品がとにかく沢山あるみたいで、定番のシロップ漬けやジャムはもちろん、あんずプリン、あんずチョコ、あんず紅茶などなど、あんず尽くし…!
生のあんずが食べられる期間は限られていますが、加工品であれば一年中楽しめますので、興味がある方は是非アンテナショップや通販サイトなどを覗いてみてくださいね。
生のあんずが出回る時期もそろそろ終わりが近づいています。見かけたら迷わずゲットしてくださーい!

JAグリーン長野(HP)
https://www.ja-grn.iijan.or.jp/

千曲市(HP)
http://www.city.chikuma.lg.jp/