山形県のさくらんぼかかつてない危機に瀕しています。産地応援のために価格を改定することにいたしました。どうかよろしくお願いいたします。

豊洲市場ドットコム  

おはようございます。豊洲市場ドットコムの八下田です。

本日はとても心苦しいお知らせから始まります。
また、長文にはなりますので、読んでいただくのに時間がかかるかもしれません。

産地の生産者さんのためにも、ぜひ今年のさくらんぼの状況を
皆様にも知っていただきたいという思いです。

お付き合いいただければ幸いです。

「さくらんぼが無い」
山形県の生産者さんから、そんな信じられない連絡を受けたのが
5月上旬です。

送られてきた写真は驚くものでした。

満開の花が咲いています。

一見するととても美しい光景で、
「豊作が期待できるなあ」と思ってしまうのですが、

実は真逆です。

花の咲いてる時期がおかしいのです。
本来ならば花が大方散って、さくらんぼの赤ちゃんができているはずの時期。

これは「受粉をしていない」という状態なのです。

今年の山形では4月に3回の寒波が訪れ、霜が降りました。

花が咲いた時期に霜が降りると、
めしべが「枯死」してしまい、生殖機能を失います。

つまり実がならなくなります。

花は受粉のシグナルを受けて花を散らすので、

5月上旬に満開の樹があるということは、
すでにさくらんぼが収穫できない状態だということなのです。

この写真も先週末ごろに送られてきた画像です。

画像の中に見えているさくらんぼの数があまりにも少ない。

本来は良い実に栄養が行くように摘果するほどできるのですが、
今年はほとんど手を付けられない状態。

残った実を何とか収穫にまで持ち込まなければいけないという
かつてない事態に直面しています。

5月27日、県の発表では例年の68%、
県が収穫量の調査を開始した1996年以来最低の収穫量予想となりました。

かつてない、山形さくらんぼ危機といっていいでしょう…

私たちは10年以上にわたり毎年
シーズンには現地に泊まり込んで出荷をしてきました。

それはとてもデリケートなさくらんぼを、最高の状態でお届けするために、
最良の方法だと思っていたからです。

私も、現地に泊まり込んで出荷作業を4年ほど行ったでしょうか…

農家さんや物流業者さんたちと連携したり、
時にはぶつかりながら、信頼関係を築き上げてきました。

コロナで2年会えていません…

しかし、顔を合わせられなくても
間違いのない商品を選び、細やかにお客様への配慮をしてくれる

そんな産地の皆様に、私たちもこたえなければいけないと

今回の決断に踏み切りました。

すでにご購入のお客様は購入時の価格でお届けします。
購入時期によって価格が変わってしまうこと、お詫び申し上げます。

「佐藤錦」全商品の仕入れ価格を改定…
それに伴い値上げに踏み切らせていただきました。

一番人気の特秀品で
今後は 4,980円 → 6,200円 で販売をいたします。

もちろん提供価格への影響をできる限り抑えられるよう努力しております。

かつてない不作の年であっても、
収穫までにかかるコストに大きな差はありません。

もちろん豊作の年はまた逆の現象になりますが、
不作といわれた2019年でも、産地の方々は価格を変更することなく
お客様の満足を優先してくれていました。

しかし、今年は事情が違うことを

どうかご理解をいただければと思います。

来年以降も、美味しいさくらんぼづくりへ精を出していただけるように、

数少ないさくらんぼの中でも
本当に良い物だけをお届けするためにも…

ご理解をいただけますよう、お願いをいたします。

令和3年 5月29日 さくらんぼ仕入れ担当 八下田充