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青果担当 鈴木愛理です。
今年も収穫前の古田メロンの圃場に伺いました。
収穫直前の約10日間はメロンの甘さが決まる大事な時期
水やりを断ち全ての栄養を樹から一玉へ注ぎ込む最終段階です。
当然、樹は弱り耐病性のない純系高松メロンは人間でいう、免疫不全を起こしバタバタと倒れていきます。
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収穫目前のハウスにも関わらず、歯抜け状態。
樹が倒れるのが先か、収穫が先か。まさに正念場です。
この最終段階を乗り越えるには「根張りの強さ」がポイントになります。
メロンの苗を定植してすぐの時期
石井さんはあえて過酷な環境をつくり、地上部よりも根の成長を強く促しました。
そのために温度管理、湿度管理を徹底したといいます。
それでも、ひどい圃場では1200本中300本が倒れる状況。
純系高松の絶望的な栽培難度を目の当たりにしました。
見ていて、心が折れそうになります。
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「葉の数が多ければ その分多くの栄養がメロンへ届く」
昨年、石井さんはセオリーよりもずっと多い30枚程の葉を残しました。
しかし、今年は24枚です。
そのかわり1枚の葉の質をぐっと高めました。
大きく、分厚く、手触りはまるでゴムのような葉です。
葉の質を高めるために今期から新アイテムを導入しました。
「フルボ酸」です。
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森林の腐植土壌の中に存在し、動植物の遺骸が長い年月をかけて自然界で分解されてできた有機酸です。
植物に養分(ミネラルやアミノ酸)を補給させる役目をもちます。
フルボ酸によってたっぷりと養分を蓄えた葉は
午後3時になると自分が重たくてうなだれてくるほど、だといいます。
そして収穫直前に
この養分を「一気にメロンへ叩き落す」
と石井さんは言います。
酵素をあたえると、それがトリガーとなり堰を切ったように養分が糖となって流れ込むのです。
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実際に持ってみると想像以上に重い。
普段、市場で触れているメロンに比べ二回りほど小さいにもかかわらず、ずっしりとしています。
密度高く、甘さをしっかりと蓄えている証拠です。
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残念ながら落下してしまったメロンを割りました。
水分に溢れ、香りがとんでもないのです。パイナップル香すら感じます。
昨年の繊細な味・香りとは異なっていました。
本来の純系アールスに近づいたのか、ポテンシャルが引き出された結果なのか。
正解は当時の純系高松を知る 石井さんのお父様が食べないと出ないかもしれません。
しかし、間違いなく凄いメロンが仕上がっています。
第一圃場の収穫まであと3日。石井芳典さんの真剣勝負は続きます。
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いかに収量をあげて採算をとれるか、と考えるのが農家さんの基本です。
だからこそ病気に強く、作りやすいF1品種に切り替わっていくことは必然です。
その中で、食味をとことん追求し、原種にこだわる石井芳典さんは全国でも稀な存在です。
「作品づくり」と石井さんは話しますが、
実際に圃場に伺うと、この言葉が大袈裟ではないことを感じます。
価値ある純系高松(古田メロン)です。