【後編】ニタリクジラが豊洲市場に上場!捕鯨船「勇新丸」に潜入してきました

食文化スタッフの田賀です!毎朝豊洲市場を巡っています。連載コラム「タガの豊洲市場日記」も、是非ご覧ください!

目次

    本日、8月30日は豊洲桟橋でニタリクジラの生肉が荷揚げする日。
    荷揚げされた未凍結の生肉は加工場へ運ばれ、9月1日に豊洲市場で競りにかけられる予定です。

    先駆けて、取材に行ってきました!

    ▲前編はこちら

    捕鯨船「勇新丸」に潜入!

    豊洲桟橋に着岸した捕獲船「勇新丸」

    沖合で捕鯨を行う際は、母船と4隻の捕鯨船(キャッチャーボート)が一緒に移動します。
    今回潜入した捕鯨船の役割、一連の流れは下記の通りです。

    捕鯨船の役割、一連の流れ

    探鯨⇒鯨種確認⇒(鯨探機)追尾⇒射撃⇒巻き寄せ⇒抱鯨⇒渡鯨⇒揚鯨

    端的に言えば、クジラを見つけて捕え、母船に引き渡すことです。

    操縦する

    船長(左)と所社長(右):共同船舶
    室内の操縦席

    室内だとどうしても視界を遮るものがあります。外に出て、階段を上ったところにも操縦席がありました。つまりは、室内と屋外に同じ機能を果たす操縦席があるようです。

    屋外の操縦席

    操縦席と言っても、席はなく立ちです。日光を遮るものも無く、年中日焼けすると船長が笑って話していました。

    探鯨する

    「勇新丸」の見張り台

    捕鯨船の特徴は、遠くまで見渡せるよう高い位置に見張り台が設置されていること。見張り台は中段と最上段の2か所かあり、最上段は地上19mの位置にあります。私も登らせていただきました。
    上へ上へ、登るほどに、段差の足場が細くなります。頂点に立つには、はしごのような階段を上らなくてはなりません。しかも、柵が低い。止まっていても足がすくむというのに、これが海の上を動いていたら、私は硬直してしまいそうです。

    探鯨には双眼鏡も使う

    双眼鏡は棒に繋がっています。「探鯨棒」と言うようで、これがあると双眼鏡でひたすら鯨を探しても腕が疲れにくいようです。しかし、これが結構重い。

    覗かせてもらいましたが、驚くほど鮮明に見える!豊洲からだと、タワマン見えてしまうのではないの?と心配になるほどです。
    聞いたところ、渋谷から池袋の距離が見える程度だと言います。
    また、メモリがあり、水平線に合わせると距離(マイル)が分かるのだそうです。

    射撃する

    視界は開けている
    見事になりきっている(川口:食文化)

    本日は危ないので大砲は外されていました。

    大きいもので体長15m、体重20t以上にもなるニタリクジラを一発で仕留めると思うと、しみじみ凄い。

    船を動かす

    エンジン・機械室

    エンジンや発電機を担当する「機関部」の方にもお話を伺いました。エンジンが集まる部屋は暗い上に熱々、機械音も騒がしいです。

    背後にも、数えきれないほどのメーターやボタンなどがあります。船内のすべてのインフラを管理する無くてはならない存在。まさに、縁の下の力持ちです。

    乗組員の胃袋を支える

    すべての食事を担う司厨部

    最長3ヶ月にも及ぶ船内生活で一番の楽しみであろう“食事”(私だったら絶対そうだ)。船上での料理は陸上とはまるで違うはずです。

    野菜庫

    食料は出港時にまとめて積むそうです。

    興味津々に話を聞いていたら、特別に食糧庫も見せていただきました。
    肉庫、米庫、野菜庫とあります。野菜には一つひとつ新聞紙を巻くなど、丁寧な仕事っぷりが伺えます。

    ロマンに満ちた船上

    「勇新丸」の船内を見学させていただき、終始ワクワクが止まりませんでした。印象に残ったことは?と聞かれると溢れて止まらなさそうです。

    ひとつだけ言わせていただくと、とにかく乗組員の方全員が生き生きとしている!
    社長も含め、皆さん終始笑顔でとにかく元気。ひょっとしたら、というか、確実に「くじらパワー」が関係しているのでしょう。

    本当に貴重で、忘れられない経験をさせていただきました。