いよいよ手仕事シーズン到来!らっきょう、漬けた事ありますか?
こんにちは、豊洲市場ドットコムのTwitterの中の人です。
6月に入り、手仕事のシーズンが到来しました。市場で働くまでは自分が何かを漬けたりする事なんてほとんどなかったのですが、勉強と趣味を兼ねていろいろなものを漬けるようになり早数年。今回はらっきょう漬けについてレポートしてみたいと思います。
築地時代から続いている、らっきょう漬けの講習会
去る2019年6月1日、豊洲市場の青果棟の中にあるフレッシュラボにてらっきょう漬けの講習会が開催されました。実はこの講習会、豊洲へ移転する前の築地市場でも開催されていたものなんです。らっきょうの主産地である、鳥取県のJA鳥取いなばの皆さんと東京シティ青果さんによって開催されており、スーパーのバイヤーさんや市場の関係者の方々が参加するというもの。講習会を通してらっきょうの事を知り、それぞれのお仕事に活かしましょうという取り組みなんですね。
実は中の人も築地市場で過去一度だけ参加した事があるのですが、「まだ枠があいてるよ」とお声を掛けて頂いたので数年ぶりに参加してきました!
豊洲市場にも先週あたりから大量に届いている、鳥取砂丘らっきょう(と、ふくべ砂丘らっきょう)が本日の主役です。らっきょうは他の地域でも栽培されていますが、砂丘畑のきめ細やかな砂地で栽培されている鳥取砂丘らっきょうは、その色の白さとシャキシャキ!っとした歯ごたえが自慢のトップブランドなんですよ。そして、日本地理的表示 GIマークを割と早い段階で取得している認定商品でもあります。
まずはJA鳥取いなばの皆さんによる、らっきょうのお勉強から。目の前にはすでに大量のらっきょうが!
鳥取県の特産品と言えばみなさん何を思い浮かべますか?
鳥取県は中国地方のうち、日本海に面した位置にあるため海の幸にも山の幸にも恵まれています。代表的なものでいうと二十世紀梨やスイカ、松葉蟹や本マグロなどなど。そして本日の主役である、らっきょうです。ホワイトボードに描かれている通り、鳥取県の右上あたりには観光地としても有名な砂丘が広がっています。観光客の方達が訪れる砂丘とは少し場所が変わりますが、大体このあたりで鳥取砂丘らっきょうも栽培されているんだそうです。
らっきょうの植え付けは7月下旬から9月上旬頃にかけて。砂丘なので、めちゃくちゃ暑いんだそうです。まるで砂漠のような過酷な環境の中でせっせと植えつけたらっきょうは、10月下旬頃にピンク色のきれいな花を咲かせます。そして冬になるとらっきょう畑は雪の下に埋もれ、翌年の初夏を迎えると色鮮やかな緑色に。そして、ちょうど今頃が収穫作業のピークとなるのですね。
資料にあったお写真をお借りしますが、収穫されたばかりのらっきょうは切子さんという方が包丁で根切りをし、ある程度形を整えられます。
これを「根付きらっきょう」と言うのですが、講習会で用意されたのはこちらのもの。もうひとつ、「洗いらっきょう」というものがあり、完全に根の部分などを切り落とされているのですが、地域差なのか関東では根付きらっきょうのほうが好まれるんだとか。
今日はこの根付きらっきょうを自分達の手でカットして洗いらっきょうの形に整えるのですが、時間がない方は洗いらっきょうを買ったほうが時短になってよいと思います。
ちなみに、この切子さんという職業の方は年々減っていっているんだそう。コンテナ1箱、だいたい20kgくらいのらっきょうを根切りするのに手慣れた方でもおよそ3時間くらいかかってしまうそうなのですが、コストの兼ね合いでどうしても賃金が労働力に対してはちょっとお安くなってしまうのが理由のひとつなんだとか。シビアです。
それではらっきょうの下準備、行ってみよー!
らっきょうについての勉強が終わったところで、早速らっきょう漬けを開始します。ちなみにらっきょう漬けには様々な種類があるのですが、今回はかんたん漬けを習いました。
まずは目の前にある大量のらっきょうの下準備から。1人あたりだいたい500gのらっきょうを用意して頂きました。かたまりになっているらっきょうをまずはほぐしていきます。この時はまだ根っこや皮については気にしなくても大丈夫です。らっきょうの匂いが強烈で、目を直撃して染みます(笑)。また、手にらっきょうの強烈な匂いもつきますので気になる方はビニール手袋をしてください。
でも、手仕事してる~!って感じがして中の人はとっても楽しかったですよ。
講師を務めて下さったのは元JA職員の方で、築地市場にも何度か講師としていらっしゃったそうです。講習会後、「豊洲はどうでしたか?」と聞いてみたら「テレビでは見てましたけど自分が来るとは思わなかった」と仰ってました(笑)。
さて、ほぐしたらっきょうのその後ですが、講師の方が手にされている絵の通り、らっきょうの頭とお尻の部分をカットしていきます。いわゆる切子さんのお仕事がこれにあたる訳ですね。
らっきょうを横にしてカットしていきましたが、切子さんは包丁を縦に固定してらっきょうのほうを動かしてサッサと手早くカットしていくんだとか。うーん、匠の技。
らっきょうは切ってすぐに調理しないと、両方の切り口から芽が出てきてしまうので漬ける直前に必ず切ってください。洗いらっきょうも買ってすぐ漬けたほうがいいような気がします。たぶん。
中の人も昔参加した講習会を思い出しながらカットしていきましたが、これがなかなかしんどい作業でした…。黙々と、ただひたすらにカットしていきます。この時、白いらっきょうの中にたまに黄緑色のらっきょうが混じっていたのですが、JAの方いわく「紫外線があたって変色したものなので、これは漬けられません」との事でした。なので、黄緑色のらっきょうはよけてください。
カットすると、こんな風に洗いの状態のらっきょうに仕上がります。洗いらっきょうを購入された方はここまでの工程を省く事ができます。
みんなでワイワイ、らっきょうや鳥取県について話しながら交代でらっきょうをカットしていきました。
鳥取県のらっきょうはらくだ形(※)と言うそうで、どうしてそう呼ぶのですか?と質問したところ、動物のらくだに似ているから…ではなく、江戸時代に大きくて役に立たないものをらくだと呼んだという一説によるんだそうです。(※らくだ系、らくだらっきょうとも言います)
ですが、らくだ形は代表的ならっきょうの品種でもあり、とても大きくて立派ならっきょうでしたよ!役に立たないなんて、とんでもない!
高知県など他の産地で栽培されているらっきょうには、玉形(玉らっきょう)がありますね。こちらは台湾から導入された品種となります。
気付けばお鍋の中にはこんなにいっぱいのらっきょうが!
全てのらっきょうをカットしおえたところで、次の工程に移りますー。つづく。
【余談】
らっきょう漬けについて詳しく知りたい方は「YouTubeで動画を見てください!」と言われました。時代を感じますw
JA鳥取いなば
https://www.jainaba.com/