水産担当、塩入です。
先日、三重県伊勢志摩の海女さんに会ってきました。
伊勢神宮外宮に奉納されているハマグリ、アサリを手掛けているマルゴ水産の担当者と次に何をやるか商談していた時に、海女さんが獲るサザエの存在を知り、これは直接話を聞かなければ!と調整をしてもらいました。
「鳥羽・志摩の海女漁の技術」は平成29年1月27日、国の重要無形民俗文化財の指定を受けています。
女性が素潜りでアワビ、サザエや海藻を獲る海女漁が持続的に行われていて、その始まりは2000年前にさかのぼるらしいです。
今回、話しを伺ったのは、ユエコさん(左)とユウコさん(右)。
漁を見せてもらえる予定でしたが、あいにく風が強くてこの日は休漁。
天気が良いのにもったいない気がしましたが、沢山話を伺う事ができました。
お2人とも海女歴20年を越えるベテランです。
だと思いきや、20年のキャリアはまだまだベテランの域ではないそう。
全国で海女さんは約2000人。そのうち三重県の志摩半島にはおよそ半数の1000人います。
この地域では水中でより息を止められ、寒さから身を守る皮下脂肪が多い女性たちが海女となり伝統的な漁を守ってきました。
地区によって独自の特徴があり、使う道具なども異なります。
訪れた志摩半島の布施田地区は24人が従事していて、最高齢は74歳の方がいらっしゃるとか。
ちなみに昨年までは、82歳の海女さんが現役で活躍されていたそうです。これはびっくり。
この地区は、海女さんが職業選択の1つとなっています。また海女さんになった理由も人それぞれ。
親族に海女さんがいて、道具を譲り受けて漁を教えてもらったり、時間を自由に設定してのんびり仕事をする事に魅力を感じたり。
何よりも小さい頃から海に親しみ、海で泳げる目安も海女さんが指標になっていたというほど海女文化が地域全体に根付いています。
海女さんの商売道具を見せてもらいました。
これは礒メガネ
くもり止めのために、ヨモギなどの葉を揉んで表面を拭くそう。
カギノミ
獲物を獲るための道具。片側がヘラで岩に貼りついたアワビなどをはがし、もう片側は、鉤の手になっていて、ひっかけて捕まえる。
タンボ
浮き輪になったり、採集物を入れておくカゴになったり、潜っている時の目印にもなります。
ウェットスーツを纏い、その上から磯着という白い木綿の服を着用します。
写真でユエコさんユウコさんが着ているもので、ウェットスーツが破れるのを防いだり、海の中で目立つようにしています。
時期によってアワビ、サザエ、トコブシ、イワガキ、イセエビなどを素潜りで獲ります。
漁期には、雨の日、風の日、波が強い日以外は海に潜り1日1時間~1時間半、漁を行います。
休みは週2日間あり、漁だけの人、農業と兼任する人などライフスタイルは人それぞれのよう。
以前は漁のみで生計を立てていた人が多かったようですが、最近は他の仕事をしながら漁も行う人が多いようです。
ここ数年は、磯焼けの影響でアワビが獲れず海女さんの状況が変わってきたと言います。
獲れる数は5年ほどで半分以下になってしまったと。
タンクを背負って潜ればさらに大量に獲る事もできますが、それはしません。
乱獲せず、必要な分だけを獲って限りある資源を大切にしています。
漁期を定め、水産資源を保護しながら自然と共存しているのです。
そして獲るだけではなく、アワビの稚貝を毎年放流し、県をあげて資源保護にも努めています。
さて、色々と話を伺っている中でサザエが良い焼き加減になってきました。
いざ、実食…
コリコリの食感に磯の香りがすごい。
めちゃくちゃ美味いです!
綺麗な海を見ながら、浜焼きのサザエは贅沢すぎますね。
海女さんが獲ったサザエは近日中に豊洲市場ドットコムで販売します。
お楽しみに!