全国どの地域でつくっても「ぐんま名月」と呼ばれる、黄色いりんごをご存知ですか?

群馬県で生まれ育った、ぐんま名月


こんにちは、築地市場ドットコムのTwitterの中の人です。
秋の味覚で思いつくフルーツはたくさんありますが、これから冬にかけて長く楽しめるフルーツと言えばやっぱり林檎(りんご)ですよね。スーパーなどでは赤いりんごが沢山並んでいると思いますが、黄色いりんごだってちゃーんと甘いし美味しい品種がいっぱいあるんですよ。そのうちのひとつ、ぐんま名月という品種のりんごを今回はご紹介します。


ぐんま名月はりんごの品種名です。その名の通り、群馬県農業総合試験場(現在の群馬県農業技術センター中山間地園芸研究センター)にてあかぎ×ふじの交配で誕生したりんごです。群馬県が1991年に品種登録を行いました。群馬県で生まれたりんごなので、「ぐんま」とついているんですね。


薄い黄色のベースにほんのりと赤みがかった美しいグラデーションが特徴的なりんごです。果肉はシャキシャキ!黄色いりんごは甘くないんじゃないの?と思われる方も多いと思いますが、実はそんな事はありません。ぐんま名月は甘さもバッチリ兼ね備えているのです。では、なぜ黄色いりんごは赤いりんご程に流通しないのか…?それは、赤いりんごに比べてキズやスレなどが目立ちやすく、検品で弾かれやすいので生産者さんもあまり積極的には育てたがらないからなんですね。ぐんま名月も同様の理由でそれほど市場に出回っておらず、幻のりんごと呼ばれる事もあるんですって!

 

黄色いりんごだって、ちゃんと甘い!


ぐんま名月の果肉をカットしてみると、断面図はこんな感じになりました。こみつやこうこう程ではありませんが、蜜もちゃんと入っています。こんなに美味しいりんごが消え行くのは勿体ない!という訳で、最近は群馬県以外の産地でもぐんま名月の栽培に取り組んでいるんだそう。例えば、当店でお取扱いのあるぐんま名月は群馬県産以外に長野県産などがあります。

 

群馬県以外の場所でつくっても、ぐんま名月のはずが…


ところがですね…。ここでちょいとややこしい問題が。
群馬県以外の産地で栽培を行っても、ぐんま名月という品種名を聞くと「群馬県のりんごなんだ!」と連想されてしまうからなのか、品種名ではなくブランド名商標名を強く打ち出しているりんごも多いんですね。こちらは長野県で栽培されたぐんま名月ですが、リーフレットには「名月」の文字だけしかありません。


でも、この淡い美しいグラデーションと、ふんわり香る甘いりんごの香りはぐんま名月に間違いない…!


長野県産ぐんま名月の断面図はこんな感じでした。


産地を混同されないように…という事なのか、北海道の七飯町で生産されたぐんま名月は「ななみつき」という商標名(ブランド)で広まっています。

北海道の七飯町で生産されたぐんま名月の果実に、ななみつきという登録商標名をつけて発売されています。
同町果樹組合が、1994 (平成6) 年度から本格的に栽培を始め、北海道で穫れても「ぐんま名月」はおかしいと言うことで、ご当地の名前に改め、このブランド名を商標登録したのだそうです。「なな」は七飯町の「七」、「み」は蜜の「み」、「つき」はぐんま名月の「月」。全国から応募があった226件から選ばれた名前だということです。インターネットで検索するとたくさん出てきます。・・・(2013年10月13日記載)

(出典:http://aomori.my.coocan.jp/appls/gunmameigetu/gunmameigetu.htm

決してブランド名や商標名が悪いという訳ではないのですが、一般の消費者の方にどこまで区別がつくのかな?とか、もっと品種そのものを知って貰いたいなあと仕事柄どうしても思ってしまう中の人です。そういえば産地の名称がついているりんごと言えば、シナノスイートやシナノゴールドなども思い浮かびます。こちらも、例えば長野県以外の場所で栽培をしても品種名が変わる事はありません。ただ、ブランド名や商標名の場合は一定のルールがあり、決められた産地以外や基準外の場合は名乗る事が出来ないのです。ちょっと、難しいですね。


ぐんま名月は10月下旬頃から出回る、今が旬の美味しいりんごです。もし見かけたら是非召し上がってみてくださいね。

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