気候変動に負けない「暑さに強い作物」

仕入れ人:八尾
仕入れ人:八尾

こんにちは。豊洲市場ドットコムの八尾です。

近年、夏の作物を取り巻く環境は大きく変わっています。

連日の猛暑、夜温の上昇、極端な降雨――。

かつては“産地の腕”で乗り越えられていたものが、いまは「品種そのもの」を変えなければ対応できない領域に入ってきました。

しかし同時に、この環境を前提に育種された“新しい美味しさ”も生まれています。

今回は、気候変動でも高い品質や収穫量を誇る注目作物を、品目別にご紹介します。

■桃

「さくひめ」
桃の開花には7度以下の温度にさらされる期間が1000時間以上(40日間以上)必要とされています。暖冬ではその時間が確保できず、収穫量が落ちてしまうということが起こります。
さくひめは低温期間が比較的短くても開花が安定し、さらに生育も良好なため期待されています。

■ブドウ

「ブラックビート」
黒ブドウは高温が続くと果実の熟成が早くなります。すると表面が色づく前に食べごろとなる“着色不良”が発生。巨峰などの黒ブドウは、赤みが残ると商品価値が下がってしまいます。
ブラックビートは着色性の高さに加え、大粒のブドウということで近年注目を集めています。

■りんご

「シナノリップ」
長野県が開発した夏りんご。りんごは暑さにより果肉が軟化してしまいますが、シナノリップはそれが少なくシャキッとした食感を楽しめ、さらにムラなく赤く色づくことから、店頭でも人気を博す品種です。
特に果肉特性は今後の品種開発においてとても重要な役割を果たすかもしれないと期待しています。

■メロン

「レノンメロン」
猛暑はメロンの糖度を高めますが、病気にかかりやすく、奇形や小玉化を誘発することがあります。
また着果不良や果肉の軟化も発生し、収穫量や出荷後の品質に影響が出ます。
レノンメロンは高温下でも安定した生育を誇り、果肉の軟化も少なく、日持ちも良いと導入が進む赤肉メロンです。

■梨

「甘太」
猛暑は梨を甘くするといわれていますが、近年は強い直射日光により、樹上で傷んでしまう“煮え果”の発生が増えています。
甘太は大玉で糖度が高く、着果も安定しており、さらに煮え果の発生が顕著に少なく、全国で導入が広がっています。

■柑橘

「璃の香」
根強い人気のある国産レモンですが、夏場の栽培は難しく輸入に頼らざるを得ませんでした。
一般的にグリーンレモンが10月頃から流通するのに対して、璃の香は8月頃から流通が始まります。既存の国産レモンよりも1か月ほど早く出回ることで市場の需要に応えています。
また、酸味も穏やかで香りも良いと高い評価を受けています。

■稲

「にじのきらめき」
稲がでんぷんを蓄える登熟期、厳しい残暑の影響で十分に栄養が回らず小粒化。さらに未熟粒で白濁してしまい、収穫量・品質を低下させてしまいます。
にじのきらめきは高温下でも高い品質を誇り、収穫量も安定。食味もコシヒカリと同等と言われるほど、高い評価を受けます。さらに一部地域によっては11~12月に二回目の収穫を行う再生二期作でも注目を集めています。
目利きの一言

酷暑は、作物にとって厳しい環境です。
しかしその裏で、品種は確実に進化しています。

“美味しいものをつくる”という営みは、ただ自然に従うだけでなく、環境に適応し続けることでもある。
そんな見えない改良と挑戦に、ぜひご注目ください。

 ※本記事では、研究機関などで「耐暑性」「高温耐性」などに良好な結果を示した品種をご紹介しています。