
こんにちは。うまいもん特派員・北陸担当のつぐまたかこです。
先月に引き続き、またまた“かに”ネタです。
今度は干物、干したかに。日本のベニスと言われる富山県・新湊で出会った
かにの干物は、旨みがぎゅっと濃縮されて、生を超えるような味わい。
これでご飯を炊いたら、極上のかに飯ができあがったのです。

干物は、昔からあった魚の素晴らしい保存方法です。しかし、かにの干物ってそういえばあまり聞いたことがないなぁと思っていたら、先日見つけちゃいました!富山県射水市。白エビやベニズワイガニ漁が盛んな新湊漁港のすぐ近く、日本のベニスと言われる運河沿いの内川エリアにある干物屋さん「IMATO(イマト)」で。
ここの干物は、法律上「干物」を名乗っていますが、ほぼ鮮魚。焼くと生魚を焼いたような…というより、生魚よりもふわふわな食感で、ギリギリの塩分が引き出す旨みが味わえるんです。なので、おいしい干物を買って帰ろうとお店に立ち寄ったというわけなのですが、そこにあったのが「かにぼし。」なるもの。目が釘付けになっていたら、「かにの干物です。ほかではないと思いますよ」と、声をかけてくださったのは、地元では知られた漁師社長・東海勝久さんのお姉さん。干物愛にあふれた女性です。実は、かにという食材は干物作りの常識が一切通用しない、加工上きわめて理不尽なハードルを抱えているそうです。

第一の壁は水分量。ベニズワイガニの身の約80%以上は水分。一般的な干物と同じように風に晒して乾燥させると、身は水分とともに縮みきり、甲殻の底にパサついた糸のような身がこびりつくだけになってしまうとのこと。
第二の壁はかに特有の「自己消化」と「黒変」。かには水揚げされた瞬間から自らの持つ酵素でタンパク質を分解し始め、時間をかけて干そうとすると身がドロドロに溶けてしまうそうです。さらに、体液が空気に触れて酸化することで身が黒ずみ、見た目の美しさも損なわれてしまうんですって。
「干せば身が縮んで殻にへばりつき、時間はかけられず、黒ずんでしまう」。 この物理的な不可能を打ち破ったのが、この「ほしがに。」。ほぼ鮮魚の干物を作る干物屋さん「IMATO」が、富山県食品研究所と確立した特許技術だそうです。すごい!


IMATOの干物がほかと違う理由、ほぼ鮮魚の秘密を聞いてみました。
新湊漁港は、魚種に恵まれた富山湾にあります。水深1000メートルを超える富山湾は、漁場から港が近い。IMATOの加工場とお店がある内川エリアは、新湊漁港から運河で繋がっていて、目と鼻の先。朝揚がった魚が短時間で運ばれ、すぐに加工されます。
保存性を高めるための塩分ではなく、富山湾の海洋深層水を使ったごくごく「うす塩」仕立てで、魚自体が持つ本来の濃密な甘みと潮の香りを引き出すのだそうです。
そして東海さんは、誇らしげに言いました。「うちの社長、弟は刺し網漁の漁師。ノドグロが得意な漁師だけど、それ以外でもどこにどんな魚がいて、いつどう獲ればいいかを知り尽くしているから」と。

こういう商品には、プレミアム的なものを登場させるのは、商品開発の基本です。「ほしがに。」も例外ではありません。その名も「越の干蟹(こしのほしがに)」。「ほしがに」が漢字表記になっています。パッケージにもそこはかとなく漂うお歳暮感。この「越の干蟹」は、富山産の紅ズワイガニを、漁解禁の9月以降、職人たちが丁寧に手剥きして、特許技術で加工した数量限定品。今年の分は発売が始まったばかりだそうです。

「ボウ」はかにの脚、「ミックス」は脚と胸の身をほぐしたもの。手に取ると小さいし、思わず「軽っ」と言っちゃうのですが、この「ボウ」と「ミックス」1袋ずつでカニ1/2ぱい分というではありませんか。贅沢!
かにの甘みとジューシーさを感じるほのしょっぱい味わいは、かに好きにはたまらないものに違いありませんが、決してパクパク食べてはいけません。極上のかに飯を作って、ありがた〜くいただきましょう。

