こんにちは、築地市場ドットコムのTwitterの中の人です。
桃シーズン真っ盛りです。当店の桃の販売ページはもちろんの事、これまでにTwitterで公開した桃の家系図や桃の断面図にも多くのアクセスを頂いております。中の人もこれらの画像を作るにあたり、桃について色々と調べてみたのですが、日本国内の桃の事はなんとなくわかって来たけれど世界の桃の事についてはまだまだわからない事が沢山あります。そこで、これまでに調べた内容と合わせて、日本の桃事情と世界の桃事情についてここでちょっとまとめておきたいと思います。
そもそも、桃のルーツとは?
桃は数あるフルーツの中でも古い歴史を持っています。日本では昔話にもよく登場しますし、桃太郎伝説も全国各地に残っているんです。
古事記や日本書紀、また万葉集には桃の栽培記録などが記されていますが、これらを読む限り日本に入って来た当初は桃は花を観賞するために栽培されていたみたいです。その後、生食用として栽培されていくのですが…。調べてみると生食用としての桃のご先祖様は上海水密桃だという事がわかりました(※諸説ありますが…)。
明治時代には、甘味の強い水蜜桃系(品種名:上海水蜜桃など)が輸入され、食用として広まった。現在日本で食用に栽培されている品種は、この水蜜桃系を品種改良したものがほとんどである。
(※Wikipediaより引用)
日本に入ってくるよりもずっと昔に中国で誕生した桃は紀元前後にシルクロード交易でペルシャへ運ばれ、その後ギリシャやローマに伝えられました。こんな風に桃は世界中に広まっていったのです。
中国では桃は単なるフルーツではなく、不老長寿の実として珍重されており、厄除けなどの力を持つ食べ物という位置づけだったようです。その為、中国の古い歴史の中にも桃は登場します。
孫悟空が食べた桃として有名な蟠桃(写真の桃)がそうですね。
桃は『西遊記』の主人公、孫悟空が食べたことでも有名ですよね。昔、中国で桃はただの果物ではなく、特別なものとして見なされていたんですよ。それは、桃源郷の不老不死の”仙果(せんか)”として考えられていたのです。
(※桃アラカルトより引用)
日本の桃事情 VS 世界の桃事情
ここで世界に広がった桃の生産量について数字で見てみましょう。こちらは世界のモモ・ネクタリンの生産量を示す表ですが、中国が圧倒的に多く世界1位となっています。さすが原産国。
(画像の引用元:公益財団法人中央果実協会)
桃の品種について調べていた時、「日本にはこんなにいっぱい桃の品種があるのか…!」とビックリしたものですが、実は生産量だけで見てみると日本は18位なんです。ちょっと意外。中国や日本を含むアジアで桃は多く栽培されていますが、欧州や北米などなど世界の様々な地域で桃は栽培されています。
(画像の引用元:公益財団法人中央果実協会)
でも、世界の桃って言われてもなんだかピンときません。中の人、海外旅行先でスーパーマーケットやマルシェを覗いてみた事があるのですが、蟠桃のようなひらぺったい桃は見かけた事がありますが日本で見かけるような丸くて可愛い桃は店頭には並んでいなかったように記憶しています。うーん、気になる。世界の桃。
という訳で、Twitterでいつもお世話になっている海外のフルーツ事情にお詳しい野菜ソムリエHiroさんに「世界の桃」について教えて頂きました。
野菜ソムリエHiroさんに聞く、カナダの桃事情
中の人:唐突な質問ですみませんが、日本以外の国で見かける桃について教えてくださーい!\(^o^)/
Hiroさん:私の住んでいるバンクーバー限定の話でもよいでしょうか?ここバンクーバーでは、夏になると桃がたくさん出回るのですが、残念ながら日本のように品種別での販売は見かけたことがありません。
中の人:え、そうなんですか?先のグラフで見ると北米でも桃の栽培(生産)はされているみたいなんですけど…。
Hiroさん:こちらで見かける桃は品種ではなく、ホワイトピーチ(写真上の断面図)、イエローピーチ(写真下の3玉でうつっている桃)といった具合に、色別でお店に並んでいることが常です。
中の人:色?桃の色がそのまま商品名になっているんですか…。なんか不思議!
品質がよいとされているオカナガンの桃
Hiroさん:ただ、オカナガンという桃の栽培で有名な地域で育てられたものは、特別にオカナガン・ピーチという名前で売られていて、他の桃とは区別して販売されますね。
Hiroさん:地元の人も「オカナガンの桃=品質が高い」と認識しているイメージです。
中の人:日本でいうところの「岡山の白桃」みたいな、産地の特徴というかブランド性を持たせているようなイメージなのかも。
ちなみに、カナダのオカナガンはこのあたり。
オカナガン(Okanagan)はカナダ・ブリティッシュコロンビア州の地方名であり、オカナガン湖のある地域及びオカナガン川流域のカナダ側の地域を指す。しばしばオカナガン渓谷、オカナガン郡などとも呼ばれる。中心都市はケロウナで、この地域全体の人口は35万927人(2009年)。[1]オカナガン(Okanagan)はこの地域の先住民族の名前でもあり、Okanoganとも表記される。
(Wikipediaより引用)
調べてみると、この地域は果樹栽培が盛んみたいで、特にぶどう園やワイナリーが増えていて観光で訪れる方も多いみたいです。山梨県や岡山県みたいに、桃も葡萄も栽培が盛んな地域って日本にもありますし、きっとフルーツが育てやすい豊かな環境なんだろうな、と勝手に想像してみます。
海外のマルシェでよく見かける蟠桃みたいな桃
中の人:海外の桃について調べてみたんですけど、中国の蟠桃みたいなひらぺったい桃がマルシェなどに並んでいる様子はよく見ました。でも、日本のようなまんまるな桃を販売している様子がなかなか無いんですよね。
Hiroさん:そうですね。普通のスーパーや八百屋では蟠桃はちょくちょく見かけます。
中の人:そうそう、この桃です。海外旅行先のスーパーマーケットでもこの桃が並んでいました!蟠桃ではなくFlat Peach(フラット・ピーチ)とかUFO Peach(UFO・ピーチ)という名前で店頭に並んでいる事が多いのですが、ルーツは蟠桃みたいです。
Hiroさん:一度だけですが、黄色の蟠桃(なぜかピーチパイという名前で売られていました)も購入したことがあります。
中の人:こちらの写真ですね。黄色の蟠桃は日本にもあって、当店でも過去販売した事があるのですが黄金蟠桃という名前で販売していました。なんでピーチパイなんでしょうか?不思議~(笑)。
日本は生産量は少ないけど品種の数は世界一かも?
Hiroさん:私は岡山出身で桃が大好きなだけに、日本の桃が懐かしいです。あんなに果汁たっぷりで繊細な桃はカナダでは食べることはできません・・・。
中の人:日本は生産量は世界の中では上位に入りませんが、品種の数ではきっと上位に入ると思います。桃だけではなく、フルーツの品種やブランドがこれほどまでに細かくわかれている国ってほとんどないと思うんですよね~。
Hiroさん:ちなみにニュージーランドでも1年暮らしていたのですが、そこでも品種名での販売はしてませんでしたね。
中の人:築地市場に観光にやってくる外国人観光客の方達も、日本のフルーツの種類の豊富さやお値段にはビックリされてますもんね。海外ではそこまで品種にこだわりがない事がわかりました。Hiroさん、詳しいご説明ありがとうございました!
…という訳で、まとめると日本は桃の品種が多く品種ごとに味や食感などを楽しむ事が出来るけど、海外では割とアバウト(笑)というか、品種ではなく色や形などで区別しているという事がわかりました。世界の桃の品種、色々あるなら調べてみようかなあと思いましたが、そんなに無いみたいでちょっと残念です。
桃シーズンはまだまだ始まったばかり!晩生種まで追いかけると9~10月頃まで桃の品種リレーを楽しむ事が出来ます。当店でお取扱いのある桃はもちろん、この築地ブログでも桃の品種をご紹介していきますので楽しみに待っててくださいね。
今回お話を聞かせて下さった野菜ソムリエHiroさんのブログでは海外の野菜&果物事情がギッシリ!と詰まっています。SNSもぜひご覧ください。
カナダの野菜ソムリエHiro(Twitter)
カナダの野菜ソムリエHiro(Facebook)
カナダの野菜ソムリエHiro(Instagram)