毎朝のルーティン、仲卸周り。
私たちが扱うマグロの品質を見極めるのは、「現場の生きた言葉」です。その日の時化具合やセリへの入荷数、天然か養殖か、あるいは漁獲方法の違いまで。膨大な情報の中から、今日お客様にお届けすべき最高の一本を、対話を通じて選び抜きます。
「今は島周り(伊豆半島周辺)のマグロの状態が良いよ」
そんな仲卸店長との会話を楽しみながら、仕入れの目利きを進めます。ふと奥に目を向けると、圧倒的な存在感を放つ巨体が横たわっていました。
150kgは、本マグロだけの特権
神奈川・佐島の一本釣りで揚げられた、150kg級の本マグロ。 一般的にメバチマグロなどは大きくても130kg前後。150kgを超える巨体へと成長し、その重厚な脂を蓄えられるのは、やはり「マグロの王」と呼ばれる本マグロならではの特権です。
特別に許可をいただき、間近で解体を見学させてもらいました。

包丁一刀で上がる、マグロの解像度
巨大な専用包丁を使い分け、頭はノコギリで落とす。熟練の職人が一対一でマグロと向き合い、時には補助が入り、鮮やかな手際で切り分けられていきます。
目の前で「柵」として切り出される瞬間、中落ちが削り取られる瞬間、赤身から大トロへとグラデーションが繋がる位置関係。 現場で見るそのプロセスは、まさに「百聞は一見にしかず」。点ではなく、線でその姿になっていく姿から、私の中にあるマグロの解像度が、一段と引き上がっていくのを感じました。


品質を物語る「赤」、酸味とサビ感
切り分けられた直後のマグロは、空気に触れることで酸化し、鮮やかな赤色へと発色していきます。 今回の一本は、身が焼けて白濁する「ヤケ」や身の中に白いゼリー状の塊ができること「病」も一切ない、文句なしの上物です。
試食させていただいた赤身は、ガツンとくる鉄分の風味(サビ感)と、酸味。そして、いつまでも喉の奥に残る重厚な余韻。 対照的に大トロは、口に含んだ瞬間に甘みと旨みがじんわりと溶け出し、飲み込んでからもしばらくは余韻に浸れ、幸福感を感じます。

「あとは、お客様に託すだけ」
「寝かせて熟成させるか、この抜群の鮮度で食べるか。それはお客様の判断。」
私が「買おう」と決心した瞬間、隣にいた同僚二人からも「これ、買いますね」と即断の声が上がりました。プロの目が一斉に同じ方向を向いた、納得の品質です。
この素晴らしさを、一人でも多くの方の皿の上へ。 私たちが自信を持って目利きした、本物の味をお届けします。

(水産担当:明星)

