
豊洲市場ドットコムで仕入れ責任者を務めます、八尾です。
私は「ごはんソムリエ®」の資格を持ち、お米が持つ美味しさや魅力を広める活動にも力を入れています。
そんな米のプロとしても、今年とりわけ目を惹くお米があります。それが17年もの歳月をかけて育成され、2026年、ついにデビューする新潟県の新品種「なつひめ」です。
私自身も口にするのはこれが初めてとなりますが、そその食味の評価は以前から耳にしていました。
全国の新米の中でも極めて早い8月に収穫が行われるため、一足早く新米を味わえる楽しみはもちろん、今後の米作りの現場を力強く後押ししてくれる存在になるのではないかと、期待を寄せています。
今回は直接現地を訪ね、その魅力と生産者様の思いを取材してきました。

2026年(令和8年)の「なつひめ」栽培に挑む生産者の一人、池田 治さんです。農業法人(有)百笑会の代表として、高齢化などにより離農された農家さんの田んぼを引き継ぐなど、地域の農業基盤を守り続けています。
東京ドーム約15個分に相当する70haという広大な圃場(ほじょう)を手掛ける池田さんが、今年その作付面積の1割にあたる7haを「なつひめ」へと切り替えました。
2025年(令和7年)に行われた試験栽培にも参加し、その優れた品質を直に感じ取ったからこその決断だったと語ります。

「なつひめ」は大粒であり、食味も高い評価を受けるな品種です。
これまでの夏場の極早生米といえば、「粒が小さめで成熟が浅く、味がのりにくい」というイメージでしたが、それを覆す品種です。
新潟県が17年をかけて開発してきました。8月に新米のおいしさを堪能できるという利点に加え、しっかりとした甘みがありながら後味はすっきり爽やか。極早生種でありがなら、シーズンのお米に負けない美味しさを有しています。
さらに注目したいのが、作る側にとっても頼もしい「高温耐性」を備えている点です。
近年の厳しい栽培環境に対応するこうした頼もしい品種の登場に、私も大きな可能性を感じています。

8月6日、酷暑の中でしっかりと頭(こうべ)を垂れる稲穂の様子です。栄養を蓄えて粒がふっくらと膨らみ、きれいな黄金色へと色づき始めています。収穫を間近に控えた力強い姿そのものです。
ちなみに、同じ時期のコシヒカリはまだ出穂(しゅっすい)を迎えたばかりで、実がつき始めた段階であり成熟には程遠い状態です。
取材当日は直射日光下で38度、気象庁の観測値でも33度を記録する猛暑でした。近年の夏場の記録的な高温は、従来の米作りの常識を揺るがし、高温による品質低下など、米作りへの影響が相次いでいます。
そのような厳しい暑さの中でも、「なつひめ」の籾はふっくらと膨らみ、収穫を目前にしていました。
いよいよ刈り取りの時期を迎えます。

「なつひめ」は美味しさや収穫の早さだけでなく、育てやすさも魅力です。
前述の「高温耐性」のおかげで、猛暑の年でも高い一等米比率を実現。食味や口当たりも良く、夏の極早生米ならではの清涼感ある香りをあわせ持っています。
暑さに負けず美味しく育つことも魅力ですが、既存の品種と比べて草丈が低いため風の影響を受けにくく、茎も太くしっかりしていて倒伏しにくい構造をしているため、安定した栽培が期待できます。

さらに池田さんは期待を込めます。「このお米が生産者の大きな助けになるのではないか。」
池田さんは多くの圃場の田植え・管理・収穫を一手に行っています。通常の品種は別で苗を育ててから田植機で植え付けますが、「なつひめ」は根張りが強いため種もみのまま直接撒く直播も可能だといいます。さらに背丈が伸びにくいため肥料をやっても倒れにくく、栄養管理がしやすいメリットもあります。
「育てやすくて、美味しい。」と評価します。

農業という大切な産業を支える方々にとって、「作りやすい」というのは非常に大切な要素です。
池田さんは『一年を通じてなつひめが愛されるお米になる』、そんな未来を描いています。
現状はまだ生産量が少ないですが、美味しさと暑さへの強さが知られ、新潟米の一角を担えば、生産者にとっても消費者にとっても、喜ばしい存在になるはずです。
これからの時代、「美味しい」だけでなく「安定して作れる」ことも欠かせません。「なつひめ」はまさにその両方を満たす次世代のお米かもしれません。
2026年、新品種米「なつひめ」のデビューを私たちも心から歓迎いたします!
期待を込めて、皆様にもお勧めいたします。
