食のトータルプロデューサー・井上です。
10月11日の築地市場の移転まで残り数カ月。
この市場の魅力をもっと伝えたいと東奔西走しております。
今回はご縁あって、「虎ノ門市場」さんとのコラボレーションが実現しました!
恥ずかしながら目利きとして登場しています。
私(弊社)の目利き力ってなんだろう?と考えますと、
これは私の力など本当にごく僅かで、市場の仲卸さんが教えてくれたり、
大卸のシティ青果や中央魚類や千代田水産のセリ人さんが教えてくれたり、
さらには、産地で知り合った方が友達を紹介してくれたり、
あるいは、ツイッターやフェイスブックでお客様が教えてくれたり、
そういう色んな人の力が集合する事で、なんとかやらせていただいております。
やっぱり市場って凄い!皆さんありがとう!
今回、取材のために訪れたのは群馬県のJA利根沼田。
「おぜあかりん」といういちごを作る名人、新木さんご夫妻を訪ねました。
このいちご、旬の3月4月に育つように作っても味がのらず、夏に近くなる頃に美味しくなる不思議ないちごです。
新木さんがなかなかの照れ屋さんで、撮影に苦労しました。
おぜあかりんは、実は元々はケーキ用のいちごなんです。
ケーキ用のいちごに求められるのは、形の良さと固さと小ささです。
甘さはそれほど必要なく、産地としても「見た目重視」で当初は作っていたようです。
ケーキ用には、MやLサイズのケーキにのせてちょうど良い大きさが好まれます。
しかし、栽培していると当然大きいものも出来ます。
大きいいちごは、普通であれば小さいものよりも相場が高いものなのですが、このおぜあかりんに関してはそうではなく、
大きくて立派だと「ケーキ用には不向き」と言う事で、安く取引されてしまっていました。
当然、生産者としては悲しい限り。
良い物作っても高く売れないって、どうして??となりますよね。当然。
そこで登場したのが、東京シティ青果のセリ人M氏。
「俺が何とする」と。
このケーキ用と思っていたこのおぜあかりん、実はとんでもない可能性を秘めてました。
おぜあかりんは夏場のいちごなので、暑さに負けぬようにしっかりした固さがあります。
これはいちごに限らずなのですが、実がしっかりした果物は完熟しても崩れず、糖度が高くなる傾向があります。
このおぜあかりんも上手に育てると、甘くてジューシーなそれはそれは美味しいいちごになるんです!
これに気が付いたのが新木さん。
※この可愛い手は、うちのスタッフ平野の息子ちゃん。
それは置いといて、この大量のいちごの中に先が白いもの(右下など)があるの解りますか?
これは、りんごの蜜の様に糖が結晶化されたものと言われており(本当のところは解りませんが)、
実際にこういういちごを食べると、ハチミツの様に甘いんです。
私も最初に食べたときはあまりの甘さに驚きました。衝撃でした。
ただ!!
こういう「先が白い」いちごは見た目が悪いので「訳あり品」になってしまうんですって!
ひゃ~~~!!なんじゃそりゃ~~~!!
という訳で、この先の白いいちごは産地でしか食べる事ができません。
でも、その手前でギリギリ完熟したおぜあかりんは、無事に築地にお嫁に行く事ができました~~パチパチ。
ちなみに、この先が白いいちご、
「大丈夫、我々なら高値で買いますから、全部ください!」と言ってきました。
いつか数量限定で、このスペシャルに甘いおぜあかりんを販売できるかもしれません。