「カニってどれくらい買えばいいんだろう…」
皆さんはカニを購入する際に“量”や“表示”で迷った経験はありませんか?そこで今回、豊洲市場ドットコムの仕入れ担当・平林さんに「失敗しないカニの買い方」を聞いてきました。
人数分の「ちょうどいい量」は?
平林さんいわく「“主役としてしっかり食べる”のかで目安は変わりますし、たらばは満足感が出やすく、ずわいは軽やかに進むといった食感差もあります」とのこと。まずは下の目安から、人数×用途に合う「ちょうどいい量」を見つけてください。
- 副菜として:1人あたり150〜200g
- カニが主役:1人あたり約400g
- しっかり楽しむ:1人あたり約500g(“お腹いっぱい”ゾーン)
※たらばは身が締まって満足感が出やすく、ずわいは軽やかな食感で同じグラムでも体感が異なります。
家族構成の目安(ネット重量)
| 人数 | “副菜”目安(ネット) | “主役”目安(ネット) |
|---|---|---|
| 2人 | 300–400g | 約800g |
| 3–4人 | 450–800g | 約1.2–1.6kg |
| 5–6人 | 750–1.2kg | 約2.0–2.4kg |
仕入れ担当・平林さんは、大人5名+子ども2名で鍋をする際、ネット重量で約2.2kgを用意したところ、少し余るくらいだったそうです(ほかの料理も用意)。体感としては、1人あたり200〜300g(ネット重量)で十分満足したとのこと。迷われる場合は、「人数×目安g(副菜150〜200g/主役400g)」でネット重量を逆算し、必要に応じて少量足すと調整しやすいです。
見るべき表示は「ネット重量」です!
一番覚えていてほしいのが、カニは「ネット重量(解凍後の賞味重量)」を見ること。カニは「箱の重さ(氷膜)」と「食べるときの実質重量」がズレやすい食品です。パッケージや商品ページにグロス(総重量)とネットが並記されている場合は、ネットを優先して人数換算を行ってください。
なぜネット重量を見るべきか
- 食べる量の指標になるのは、あくまで可食部です。氷膜(グレーズ)は満腹感に寄与しません。
- 表示のバラつき対策になります。メーカーごとにグロスの含み方(氷膜%、外装の扱いなど)が微妙に違っても、ネットなら比較が容易です。
- 買い過ぎ/足りないを防げます。人数×目安g(副菜150–200g/主役400g)をネット重量で掛け算すれば、実際の食卓に合った量になります。
※現在は店頭でもネット表記を重視する流れが進んでおり、迷ったらネット重量だけで判断して大丈夫ですとのことです。
よくある表示の見分け方(例)
| 表示例 | 何のこと? | どこを見るべき? |
|---|---|---|
| 総重量2.0kg(グロス)/ネット1.6kg | 氷膜を含む総重量と、解凍後の内容量 | ネット1.6kg |
| 総重量1.0kgのみ表記 | 文字通り「総重量」だが何を含むか不明瞭(氷膜厚めの可能性も) | 総重量から約20%を引いて内容量を想定 |
| ネット900g | 近年増えている内容量型 | ネット900gで人数換算 |
「グレーズ率」は気にするべき?
冷凍焼けを防ぎ、品質保持する氷膜(グレーズ)は一般に15〜20%程度で、保護のために有効です。厚い場合は解凍時の水分が多く見えることがありますが、品質上の問題はありません。ただし、ポーション/ハーフのように身が露出する形態は、厚すぎるグレーズが溶けるとともに旨みが流れやすいため、「薄め」が理想です。
セクション/ポーション…部位をどう楽しむか
同じ総重量でも、どう食べるかで“実際に食べられる量(ネット重量の体感)”は変わります。まずはネット重量で人数換算し、食べ方に合う形態を選ぶのがおすすめです。
かにの調理法 × 規格 早見表
| 調理法 | 規格 | 状態 | ポイント |
|---|---|---|---|
| しゃぶしゃぶ | ポーション(むき身) | 生のみ | 解凍→そのままOK |
| 鍋 | セクション/シュリンク(殻付き肩脚)、ポーション(むき身) | 生・ボイル可 | 殻付き=出汁◎/むき身=食べやすい |
| ソテー | ポーション(むき身) | 生・ボイル可 | 火通り良く、味が絡む |
| 焼き | セクション/シュリンク(殻付き肩脚) | 生・ボイル可 | 殻が香ばしく、身はジューシー |
| 蒸し | 姿、セクション/シュリンク(殻付き肩脚) | 生・ボイル可 | ボイル=温め直し◎/生=旨味を閉じ込める |
| 解凍してそのまま | 姿、セクション、ポーション(※生は生食用) | 生・ボイル可 | ボイル=解凍で食可/生=刺身(生食用のみ) |
グレーズ(氷膜)とネット重量の関係
- グレーズは保護目的で15〜20%程度が一般的です。厚いと解凍水が多く見えることがありますが品質問題ではありません。
- 身が露出するポーション/ハーフは、厚すぎるグレーズで旨みや塩分が流れやすいため、薄めが理想です。表示にグレーズ%がある場合は参考にしてください。
まとめ(買う前にチェック!)
- 人数×目安g(副菜150–200g/主役400g/しっかり500g)を決めます。
- ネット重量(解凍後・賞味重量)で商品を比較します。グロスは参考程度にご覧ください。
- 形態は、まずはセクション(肩脚)を軸に。鍋・焼き・蒸しの万能型で、家族で分けやすいです。
- ポーション/ハーフは食べやすい反面、厚いグレーズで旨みが流れやすいため、表示にグレーズ率があれば「薄め」を選ぶと安心です。
- 可能なら可食部比率やグレーズ%の記載も確認し、ネット重量とあわせて実質量をイメージします。

