第三章:雨宮家のこだわり「てっぺんの桃」って?? ~たくさんのこだわりから生まれた雨宮家の秀逸な桃の物語~

第三章「雨宮家のこだわり」

雨宮聖さん:ウチは地元の直売所と、インターネットでは食文化さんのサイトでしか販売していません。一般的な小売店さんでは買えません。しっかりと商品の価値を伝えてくれるところにだけ販売してもらっています。

――そんなことを言っていただけてうれしいです。期待に沿えるよう大切に販売させていただきます。

品質管理もちゃんとやりたいので、光センサー糖度計を自前で購入しました。とっても高い機械なんですよ!(笑) でもお客さんに喜んでほしいですからね。

▲とってもお高い!100万円以上はする高性能の光センサー糖度計

雨宮融さん:桃へのダメージを減らすために、畑から自宅作業場まで運ぶ時もきれいに箱詰めします。

▲畑で収穫され箱詰めされたかわいい桃たち

出荷時の箱詰めにはもっと気を付けています。桃同士が擦れて傷にならないように、ひとつひとつの形やサイズを見て、向きや隣合わせにする桃を決めて、動かいないように箱詰めします。上に重ねるのはご法度です。

▲自宅作業場で箱詰めされた、「箱入り娘」な桃たち

箱詰めは妻に任せています。上手に並べるんですよ。私には到底真似できません(笑)

▲お母さまの雨宮恵美子さん 箱詰めのプロ

――そこまでに気を使っているんですか!驚きです。なぜそこまで気を使うのですか?

おいしくなった時が収穫する時

雨宮聖さん:「樹の上で熟成させて、一番の食べ頃に収穫して出荷しているからです。普通は物流の配送期間や店頭で並んでいる期間を考えて、早めに収穫してしまいます。

「冷蔵庫で保管して、少し熟してから食べた方がいいよ」とお店で言われたことはないですか?それは、早熟の状態で収穫しているからです。でも、それでは、樹から桃の実にこれ以上の栄養はいかないわけですから、ゆっくりと品質は落ちていきます。柔らかくなっているだけなのです。」

――なるほどですね!私は柔らかくなる頃が食べ頃なのだと思っていました。

雨宮融さん:ウチの桃は冷蔵庫でさっと冷やして、直ぐ食べるのが一番おいしいです。

――収穫時間にもこだわりがあると聞きましたが?

雨宮聖さん:そうですね、朝9~10時を過ぎたら、もう収穫はしません。朝日で目を覚ました桃の実は成長活動を始めます。成長するために自分の中にある糖分を使うため、糖度が下がります。夜になると、また休んで糖分を蓄え、朝を迎えるわけです。だから朝採りが一番おいしいのです。」

――繁忙期は、雨宮家の生活のすべてを桃に合わせているのですね。

雨宮聖さん:「そりゃ桃農家ですからね(笑)」

▲大切に樹と触れ合う姿は、まるでわが子を育てているかのようです。

桃の職人魂

お客様に「おいしい!」と喜んでもらうために、日夜努力をされている桃職人一家の雨宮家の皆様にお会いして、モノ作りニッポンの職人魂を見ました。こんな気持ちいい人たちが作った秀逸な桃を今年もぜひ食べたいですね。

次回は収穫が始まるころに報告いたします。

お楽しみに!

取材:小河原英二、西川純平

執筆:小河原英二

撮影・編集:西川純平