乾物でも料理の質をぐんと引き上げてくれる桜海老。 でも、春にしか味わえない生の桜海老は、やはり特別な存在です。例年3月後半に解禁される桜海老漁。 その美しい桜色と、春を告げる香りをいまかいまかと待ちわびていたところ、3月6日にようやく豊洲市場へ初入荷がありました。

静岡産と桜海老の出会い
今では静岡の代名詞となっている桜海老漁ですが、その始まりは明治27年。ある偶然からとのこと。
現在の由比地区の漁師さんが、網を浮かす樽を積み忘れて漁に出た際、網がいつもより深く沈み、大量の桜海老が掛かったことがきっかけと言われています。
現在、日本で桜海老漁の許可を得ているのは、焼津市の大井川港と、 静岡市の由比港のわずか2拠点。国内水揚げのほぼ100%が駿河湾産という、世界的に見ても極めて希少な資源なのです。
深海に潜む
桜海老は、日中は水深200〜300mほどの深海に潜んでいますが、夜になると餌を求めて水深20m付近まで浮上してきます。
この習性を利用し、漁は夜間に行われます。2隻の船が網を引く「2艘曳き(にそうびき)」という伝統的な漁法で、大切に水揚げされています。
厳格な管理
桜海老の命を絶やさないよう、 漁には厳格なルールが設けられています。
- 春漁(3月下旬〜6月初旬)
- 秋漁(10月下旬〜12月下旬)
この年に2回の漁期以外は、 繁殖のために一切の漁を休みます。 さらに、漁期の間であっても 「頭が黒い(産卵直前)」個体が増えたり、 稚エビが多かったりすれば、 途中で漁を打ち切ることさえあります。
徹底した資源管理によって感じる、 毎年の尊さに感謝です。
実は世界でも2か所だけ。
桜海老を商業的な漁業するのは、世界でも日本の駿河湾と、台湾の南部・東部沖のわずか2か所だけと言われています。スーパーなどで見かける手頃な桜海老には台湾産も多いですが、一度も冷凍されず、生で味わえるのは静岡産だけなのです。
その秘密は、体に約160個ある「発光体」にあります。
- 旨味の差: 駿河湾産の桜海老は台湾産に比べ、この発光体の数が1.5倍以上も多いことが分かっています。この発光体が多いほど、海老の「甘み」や「旨味」が強くなると言われています。
- サイズと品質: 駿河湾産はサイズが一回り大きく、殻が柔らかいながらも形がしっかりしているのが特徴です。そのため、料理に使った際の見栄えと食感の良さが格別なのです。
美味しくいただくために
今回、私は500gパックを贅沢に購入しました。 そこで痛感したのが、保存方法の重要性です。
実は、今年購入した1回目に、さっそく失敗してしまいました……。 「明日食べれば大丈夫だろう」と冷蔵庫に入れておいたところ、翌日には海老の顔が黒くなり、下には黒い水が。あんなに綺麗だった桜色が、、、生臭さも出てしまったのです。
その経験から学んだ鉄則がこちら。
「すぐに使わない分は、即、小分けにして冷凍」
実は購入した仲卸からも言われていました・・・。「すぐ使わないなら、小分けにして冷凍ね!」と。桜海老は非常に鮮度が落ちやすいです。購入したら油断禁物、手に入れたら一刻も早く冷凍庫へ入れることを強くおすすめします!
料理レポート
しかしながら、鮮度は抜群。黒くなってしまったものに加え、2回目以降は最高の状態で楽しむことができました。
桜海老のかき揚げ
まずは定番のかき揚げ。新玉ねぎと、セリでかき揚げにしました。
油に入れると、キッチンいっぱいに海老の香ばしい匂いが広がります。

「桜海老の炊き込みご飯」
炊き込みご飯も。お米一粒一粒に桜海老の旨味が染み込んで、何杯でもおかわりしたくなる美味しさです。

最後に
世界中で、日本の駿河湾と台湾でしか獲れない希少な桜海老。 資源を守るために、漁獲量を厳格に管理しながら届けてくれる宝物です。
生でわさび醤油を垂らして磯の風味を堪能するもよし、火を通して香りを引き立てるもよし。 今しか味わえない春の味を、ぜひ皆さんも逃さず楽しんでくださいね。
(水産:明星)

