先日、今年度(24年漁獲)で2番目に大きいサイズという、立派なマグロを一本買いさせていただきました。その解体現場に密着し、プロの技を間近で拝見してきたのですが……。
作業を終えた仲卸の担当者さんに、今年の状況を伺ってみると、開口一番に返ってきたのは少し意外な言葉でした。
「今年のマグロの漁獲、正直良くないよ……」
2026年、アイルランド産マグロの状況が不安定と予想される理由
いつも当たり前のように食卓に並ぶマグロですが、2026年は少し様子が違うようです。仲卸さんのお話を整理すると、いくつか気になる背景が見えてきました。今年のマグロは、非常に厳しい状況です。
- 入荷量の激減: これまで主力だった「アイルランド産」の入荷が、例年の3分の1程度にとどまっている。
- 価格の高騰:昨年と比べると、メバチマグロなどが2倍近い価格になることも。スーパーの店頭価格が298円から498円へ跳ね上がるなど、影響が出始めている。
- 世界的な不漁とコストの壁: インド洋の漁船もコストが見合わず撤退が相次ぎ、「売るものがない」という異例の事態に頭を抱える現場の声も….
「じゃあ、今年は美味しいマグロは食べられないの?」と不安になりますが、実はそうとも言い切れません。そんな状況下で、今、熱い視線を浴びている「期待の星」があるのです。
知る人ぞ知るブランド、「バンク産まぐろ」
その正体は、「バンク産(グランドバンク産)」のマグロです。
「バンク」と聞くとバンクーバーを連想されるかもしれませんが、場所はカナダ・ニューファンドランド島沖。地図で見るとニューヨークの右上あたり、北西大西洋に位置する海域です。
ここは寒流と暖流がぶつかる潮目にあり、プランクトンが非常に豊富。実は「世界三大マグロ漁場」のひとつにも数えられる、マグロにとって最高の環境なのだそうです。
「バンク」と「アイルランド」は何が違うのか?
これまで主流だったアイルランド産と比べると、バンク産にはこんな魅力があると言われています。
- 鮮度の良さ 水揚げまでの時間が短く、より鮮度が保たれやすい傾向にあるそうです。
- 「味」と「色」の濃さ アイルランド産が「白い脂」が特徴なのに対し、バンク産は少し「赤みを帯びた脂」を持っています。その分、マグロ本来の濃厚な旨みがぎゅっと凝縮されているように感じられます。
- 圧倒的な希少性 アイルランド産の市場流通量は約3000tなのに対して、バンク産の流通量は約500t程度です。
実際、目隠しをして味を比べる「ブラインドテスト」を行うと、バンク産が一番美味しいと選ばれることが多いというお話も伺いました。
現横須賀港で感じた、新しい時代の足音
先日、この「バンク産」が水揚げされる現場を見るために、横須賀港へ足を運んできました。
大型船がギリギリまで接岸できる横須賀港。巨大なクレーンで次々と吊り上げられるマグロ、テキパキとサイズを測り、トラックへ仕分けしていくスタッフの方々……。現場に漂う熱気は、まさに圧倒されるほどでした。
厳しい状況が続くマグロ業界ではありますが、この「バンク」のような力強い存在が、これからの食卓を支えてくれるのかもしれません。
皆さまにも、この素晴らしい味をお届けできる日が楽しみです。これからのマグロに、ぜひ注目してみてくださいね。

(水産担当:明星)

