飛騨牛すね肉のラグーパスタ ~名店の味に学ぶ~

こんばんは。
豊洲市場ドットコムの高岡です。

falóのポルケッタ回に続く「名店の味」に学ぶコーナーの第2弾です。
前回が気になる方はこちらのリンクから。

今回は、南青山にあるイタリアンの名店、リストランテ・アクアパッツァの味から学んでいきます。

1月末あたりに期間限定で販売されていた「米沢牛とポルチーニ茸のラグーのパスタ」です。
仕事終わりにふと「うまいもんドットコム」を開いたとき、トップページに出てきた写真でビビーーッときたわけです。町田さん執筆のコンテンツページを読了し、日髙シェフのこだわりを頭に叩き込んだら、即購入を決意。
1食5,000円のパスタと聞いたら多少渋るかもしれませんが、それ以上に食欲が勝りました。

他の人に取ってこの商品がそうかは兎も角として、値段云々を飛び越えて、猛烈に買いたいと思わせる魅力的な食材を売っていくことが、この会社に勤めるバイヤーの使命なのだと思いました。

翌週届いた品を開封して早速実食。

米沢牛のすね肉はホロホロで、口の中で繊維がほぐれていく感覚が素晴らしいです。
ポルチーニは、煮込まれる中で食感が変化したのか、ぐにっと、もちっとした面白い食感をしています。
鮮やかな卵の黄金を称えるパスタも、冷凍の状態からリーフレットの表記通りに茹でると、歯ごたえのあるアルデンテに仕上がって、噛むたびに小麦の香りがします。

ラグーソースは、この手の料理だと当たり前といえばそうなのですが、トマトの酸味と旨み、赤ワインとフォン・ド・ヴォーの奥深いコクが感じられます。やはりトマトはサン・マルツィアーノ種を使っているのでしょうか?この旨みは、日本の桃太郎系トマトでは出せない味だとつくづく思います。

さて、この味を再現しようと思うのですが、あいにく米沢牛のすね肉は「うまいもんドットコム」だと手に入らなかったので、古里精肉店の飛騨牛のすね肉を用意しました。

冷凍で届いたすね肉を一晩かけて解凍し、ドリップをペーパーで拭ってから下処理を開始。
表面を覆うようについていた筋膜とスジを丁寧にトリミングし、一口大に切ります。
さすが5等級の飛騨牛だけあって、すね肉も霜降りです。

軽くグレープシードオイルを引いたアルミ製フライパンで、まずはスジを焼きます。
これが今回のソースの旨みの基礎になるわけです。

しっかり焼き目がついたら取り出し、続いてスジから出た脂で、すね肉を焼きます。

そして、肉を焼いたときにできたメイラード反応、この焦げをフランス料理ではSucs(スュック)と呼ぶのですが、これを赤ワインでこそげ落とします。

セロリ、玉ねぎ、にんじん、ニンニク、ブラウンマッシュルームをみじん切りにして、ソフリットの準備をします。焼き目を付けた飛騨牛のスジと脂も入れ、少量の塩をしてじっくり炒めます。

ソフリットの野菜がしんなりして、かさが半分くらいになったら、ブラウンルー、イタリア産のサン・マルツィアーノ種を使ったトマト缶、スュック、赤ワイン720mLを入れ、アクを取りつつ、さらに水分が半量になるまで煮込みます。
この野菜とスジ肉、スュックの旨みが、フォン・ド・ヴォーの代わりを果たします。なかなかフォンを引く時間がないときに便利です。

シノワにリードペーパーと粒胡椒をセットし、具材を濾して、即席デミグラスソースを作ります。
ソースを鍋に戻し、焼いた飛騨牛のすね肉を沈めたら、味を馴染ませるために一日寝かします。

そして翌日の夜、液面で固まっている余分な脂をすくい、再加熱します。
弱中火で4時間ほど煮込んでいると、突然肉がほぐれるようになります。

火を止め、肉とソースを一部取り置いたら、茹でたリガトーニを加え、和えます。
リガトーニはリストランテ・アクアパッツァのものです。
だから、2食分買っておく必要があったんですね。

ここで再度味見をして、塩で味を調えたら完成です。

牛肉のホロホロ感はかなり近い状態に再現できたと思います。
ただ、あのモチっとした食感のキノコがいないと、食感に変化がなくて面白味がないですね。
濾した後に残った野菜を加えても良かったかもしれません。

ソースはトマトの酸味も残しつつ、深みのある味わいになりましたが、少し濃厚にしすぎた感は否めず、確かに美味しいですが、お店の味とは別物になってしまいました。
でも、これはこれで飛騨牛のすね肉を堪能できる素晴らしい料理になったのではないでしょうか。

では、今回はここまで。