アコウダイ(メヌケ)を1尾丸々楽しむ

水産仕入れ担当の平林です。

先日、釣物のアコウダイ(別名メヌケ)を、仲卸で見かけ思わず購入しました。サイズは2kg。常に市場に並ぶ魚ではなく、供給も不安定。正直、当店でも扱いたくてもなかなか叶わない、そんな魚です。

生息水深は300〜700m。東京タワーからスカイツリーの高さほどの深さ。そんな深海から一気に釣り上げられるため、急激な水圧変化で目が飛び出し、「メヌケ」と呼ばれるようになった魚です。

まずは捌きから。体表には軽いぬめりがありますが、鱗を取る工程で自然と落ちていきます。このぬめりのおかげで?鱗が飛び散りにくいのは、意外とありがたい。ただし、セイゴ(側線上の硬い鱗)は骨抜きを使わないときれいに取れず、ここは少し手間がかかります。

骨は比較的柔らかく、頭の半割もスムーズ。卵をもっていたので、血を丁寧にしごき出し、日本酒に浸けて臭みを抜き下処理。

刺身は二通りに。子供でも食べやすいよう皮を引いたものと、皮を残して湯引きにしたもの。脂のりがよく、身にはしっかりとした甘み。皮を湯引きした方は、皮下のコラーゲンと皮のコリコリした食感が加わり、より旨味を感じる。

焼いたアラと昆布で取った出汁で、皮付きの身をしゃぶしゃぶにするのも最高。火を入れすぎず、さっとくぐらせるだけで。キリッとした味わいの旭ポン酢との相性抜群。

頭と卵は煮付けに。日本酒とみりんでアルコールを飛ばし、少量の醤油、きび砂糖、針生姜、長ネギを加えて落とし蓋。強火で15分、吹きこぼれに注意しながら一気に炊き上げ。仕上げに頭と卵を取り出し、煮汁を詰めてから醤油で味を整えます。

残った煮付けは、身を骨からほぐし、万能ネギで色味を添えて型に流し、煮凝りに。これは後日、熱々のご飯にのせる楽しむ。

腹側の身は2日ほど寝かせましたが、脂が回り、明らかに旨味が増しました。アコウダイは、刺身なら少し寝かせた方がポテンシャルが上がるかもしれません。毎日キッチンペーパーを替え、空気に触れないようラップすれば、家庭でも2〜3日の熟成は可能です。

そして、しゃぶしゃぶ後に残った旨味たっぷりの出汁は、翌朝の雑炊に。卵とご飯を加え、薄味のまま仕上げ、お好みでポン酢か塩を少し。ふぐ雑炊に似ていますが、より味の輪郭がはっきりした印象。最後まで余すことなくアコウダイの美味しさを楽しみ尽くしました。