秘密がいっぱい、大洲伝統銘菓・志ぐれ(しぐれ)とは?
こんにちは、豊洲市場ドットコムのTwitterの中の人です。
普段、野菜やフルーツについてよくつぶやいているのですが姉妹サイトでは加工品やスイーツ、お肉などのお取扱いもありまして。全国の美味しいものを試食でちょこちょこ食べたり、断面図の撮影を行っていたりします。最近中の人が食べたものの中でちょっと変わっている和菓子があったので、今日はその事についてご紹介したいと思います。
その名も、志ぐれ(しぐれ)。
最初に聞いた時は時雨羹(しぐれかん)の時雨かな?と思ったのですが漢字がちょっと違います。でも、どうして「志」の漢字が使われているのかは不明です。
この志ぐれというお菓子は愛媛県大洲市(おおずし)に伝わる大洲銘菓で、なんと現在では日本中どこを探してもこの大洲市でしか作られてないんです。パッと見た感じ、先述の時雨羹とは見た目やその製法も違っており、柔らかめの羊羹や外郎などに似ているなあ…という印象を受けます。
柔らかく似た小豆に米粉や餅粉などをあわせてセイロで蒸しあげた、モチモチ食感のお菓子です。もちもちした羊羹、というのが一番イメージ近いかも。
大洲は「伊予の小京都」と呼ばれていて、武家屋敷などが立ち並ぶ風景はなんだか歴史を感じさせます。そんな大洲の名産品のひとつとして挙げられる志ぐれですが、実はどんな風に誕生したのかなどの詳しい事はあまりわかっていないんだそうです。記録を辿れる範囲でわかっている事は、志ぐれは大洲で誕生した訳ではなく元は江戸で食べられていた「ちょっと高級なお菓子」だったという事。大洲藩の江戸屋敷で食べられていた志ぐれ(もしくはその製法)を参勤交代の折に大洲へ持ち帰った…という説がありますが、その根拠を示す史料は今のところ見つかっていません。
つまり、とても謎の多いお菓子なのです。
同じ小豆からできるけど、味わいがそれぞれ違う個性溢れる志ぐれ
現在、大洲市で志ぐれを製造販売している店舗は11店舗あるのですが、年々減っていっているんだそう。昨年は西日本豪雨で被災してしまったお店も…。
でも、この日本中どこを探しても他では見つからない大洲伝統銘菓・志ぐれの味を後世に伝える為に、各店舗がそれぞれ趣向を凝らして今日も志ぐれを作っています。一言で「志ぐれ」と言っても、店舗によって製法が少しずつ異なるんです。
その為、ほぼ同じ原材料を使っていても、微妙に食感や味わいが違います。
と、言う訳で志ぐれの食べ比べセット、作っちゃいました
そこで!大洲銘菓・志ぐれを店舗別に食べ比べできちゃうセット、作っちゃいましたー!\(^o^)/
これ、本当にスゴイ事なんです。愛媛県の銘菓だから、愛媛県のアンテナショップに買いに行けば手に入るかな~、と最初は軽く考えていたのですが、半生菓子でもある為、都内の愛媛県のアンテナショップや関連ショップでもほとんどお取扱いがない!あちこちに電話をしてみたのですが、イベントの時にしか置いていないとか、一ヶ月に一度くらいのペースで不定期にしか置いていない、というお店がほとんどでした。地元・愛媛県でも大洲以外ではあまり気軽に購入できるお店って恐らくないんじゃないでしょうか。
なので、同時に志ぐれを食べ比べ出来るセットなんて多分ほとんどないと思います(笑)。
今回は「大洲の志ぐれ図鑑」というパンフレットに掲載のあった11店舗の中から3店舗×それぞれ2種類ずつで合計6種類の志ぐれを食べ比べできるように詰合せてみました。
もちろん中の人達もみんなで志ぐれの試食をしましたよー!そもそも、志ぐれというお菓子を食べる事自体が初めてだったのに、こんなにいろんな種類を食べられるという幸せ…。ハッキリ言って、見た目はほとんど「どれも一緒じゃん」と最初は思っていたのですが食べてみるとやっぱり違いがわかります。試食、大事。絶対。
富永松栄堂 志ぐれ
まず最初に頂いたのは、創業明治8年の富永松栄堂さんのひとくち志ぐれ。パッケージデザインもめちゃ渋い…!最終的に、この試食会に参加したスタッフの中では一番人気となりました。いい意味でシンプルというか、志ぐれってこういうお菓子なんだね~、みたいな素朴な感じが良かったのかも。
デザイナーA:おはぎをミキサーにかけたような感じ。小豆の美味しさもよくわかるし、味も食感もなんか優しい。
バイヤー川口:なんか…サクッとしてる。もちもち感よりもこれはサックリとしていて食べやすい。
デザイナーB:自分もおはぎを思い出しました。甘さも控えめで美味しいです。
デザイナーC:甘さが優しくてこの中では一番上品な気がします。
中の人:あんまりネチネチしてない。これ1個食べきっても、甘ったるくてクドイって事はないと思う。
富永松栄堂 しあわせ志ぐれ
同じく富永松栄堂さんのしあわせ志ぐれ。ひとくち志ぐれと違う点は高級丹波大納言を使用しているところです。つまり、上位互換と思って頂ければ。パッケージもゆめかわっぽいです!
デザイナーA:豆感がスゴイ。さすが丹波大納言…!
バイヤー川口:めっちゃ豆多い。
デザイナーB:豆のツブ感がすごいですね、これ。さっき食べたひとくち志ぐれがこしあんなら、こちらはつぶあんという位に豆感が違います。
デザイナーC:なんか、ぷるっとしてます。もちもちじゃなくて、わらび餅っぽいような?みずみずしいというか。
中の人:豆の一粒がとても大きく感じられて、豆を食べてる感じ。目隠しして食べても、この中でこれだけ違うってハッキリわかる食感だと思う。
山栄堂 志ぐれ
次はちょっとイマドキっぽいパッケージの山栄堂さんの志ぐれです。こちらのお店は、定番の志ぐれの他にいろんな種類の志ぐれを取り揃えているのが特徴なのですが…まずはやっぱり、定番の志ぐれから。
デザイナーA:この中では一番、ういろう感を醸し出してますね。似ている気がします。
バイヤー川口:私はこれが小豆の風味は一番強く感じますね。あと、ここだけ米粉ではなくって上用粉を使ってるんですね。だから食感に違いがあるのかな?
デザイナーB:確かに…他の志ぐれよりもモチモチ感がめっちゃ強い気がしますね~。
デザイナーC:粘りが強いです。この包み紙から全然はなれないです(笑)。
中の人:お汁粉を食べてるみたいな強い甘さ。あと、粘りも強い。この志ぐれの中で一番強いと思う。いろいろ。
山栄堂 もち麦志ぐれ
変わった志ぐれを取り揃えている三栄堂さんからもうひとつ、もち麦志ぐれです。
あまり依怙贔屓はしたくないのですが、ぶっちゃけ中の人はこのもち麦志ぐれが一番気に入りました!なんだかマニアックというか、やみつきになってしまう食感。
デザイナーA:もち麦の食感が楽しい!
バイヤー川口:新しい志ぐれを見た気がした(笑)。あと、上用粉を使っているところにこだわりを感じます。
デザイナーB:こっちは意外と甘さ控えめですね。
デザイナーC:庶民的というか、親しみやすい感じがしますね。もち麦効果なのかも。
中の人:もち麦の食感がとにかく楽しいのと、もち麦が入る事によってまさにおはぎを食べてるような感じがします。ほんのりと甘じょっぱいところも大好き。
氣晴 志ぐれ
最後に、氣晴さんのまずは志ぐれ。こちらもパッケージデザインがかなり渋い!北海道産の小豆を煮込む際、粒を潰さないように気を付けているそうです。
デザイナーA:これもなんだかういろうっぽいですね。
バイヤー川口:ちょっと甘すぎるかな?これ1個を食べきったらもしかして口の中がすごく甘い事になってるかも。
デザイナーB:粘りがスゴイ。味よりも、この食感が気になる。
デザイナーC:つまようじが折れてしまいました(笑)。
中の人:小豆の存在感はこの志ぐれが一番だと思います。
氣晴 栗志ぐれ
氣晴さんも変わり種的な志ぐれを製造されていて、人気が高い栗志ぐれもセットにしました。なんでも大洲市界隈は栗も有名なんだとか。
確かに、この栗の存在感はスゴイ…!さて、お味はいかに。
デザイナーA:栗、見た目は存在感があるんですけど栗も甘いから味としては小豆となじみすぎちゃってますかね?
バイヤー川口:栗は確かに甘いですねえ。
デザイナーB:小豆と栗が一体化してますね。
デザイナーC:もうちょっと栗の甘さが控えめだと良かったですね。食感は好きです。
中の人:食べ応えはあるんですけど、栗がやはりちょっと甘すぎる感がありますね。
あなたのお気に入りの志ぐれを見つけてみてください
そんなこんなで、スタッフみんなで志ぐれの試食をしましたが感想はあくまでも個人の主観によるものですので、ぜひ実際に食べてその食感や味わいを確かめてみてください。数量限定となりますのでご注文はお早目に…。
愛媛県大洲市銘菓『志ぐれセット』 3店舗2種入り・計9個 ※常温
※今回の商品ページは弊社専属デザイナーが全員参加のコンペで決定したデザインなので気合、入ってます!そして記事の使用している謎のキャラクターは中の人が(勝手に)作った志ぐれをイメージして作成したキャラクター、志ぐれちゃんです。